窓辺は曇り
ティーポットから、雲が生まれる。注ぎ口はさながら煙突。
コートはもう1人の私。迷える肉体から弾かれた薄い生皮のように。生皮を剥がされて殉教したあの聖人のように、幸福な錯覚に陥っている。
塀の上に野良猫がいっぴき。
そんな私を疑わしそうに、見ている。
角砂糖はヒマラヤ山脈。何度かそれを崩して、結局入れない。往来を往く人々の季節が、ゆっくりと巡っている。
カップの中が湖になる。クリームは重油。螺旋が衆生の輪廻さながら回転していく。
窓辺は曇り。
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