第9話 シテン隊長
「シテン隊長、これから君たちには我が軍から離れて、単独行動を取ってもらおうと思う。君たちだけで可能な限り敵の本陣を撹乱した後、無事に本隊へ合流してほしい」
トム隊長は慎重に言葉を選びながらシテン隊長に依頼した。
トム隊長とシテン隊長は本来同格だった。しかしシテン隊は、トムの率いるトムズキャット隊よりも更に精鋭化された小数部隊である。同じ特殊部隊ということで同一行動をとることが多いのだが、その際には大部隊の隊長であるトムがイニシアチブをとっていたというのが実情だった。
「分かりました。トムズキャット隊から離れた後はいつものように独自判断でよろしいですね」
「もちろんだとも。君たちのやりやすいようにやって、ある程度の成果と無事に帰還することの二兎を追ってほしい。難しい作戦だとは思うが、君たちという貴重な戦力を今失う訳にはいかないんだ」
シテン隊なら、どんなに難しい作戦も必ずやり遂げてくれるものとトムは信じている。
「それなら少々破天荒にやってやりますか」
シテン隊長は不敵な笑みを浮かべながら退出していった。
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