売れないままの君でいて♪  (完)


作者さま:坂神慶蔵

キーワード:ラブコメ オタク マイナー論


あらすじ

主人公は隠れオタクにしてマイナー好き。つまり「自分の応援している作品には必要以上には売れないで欲しい」と思っている。そんなある日、クラスメイトの女子と書店で遭遇。どうやら彼女もマイナー好きのようで……? めんどくさい奴らのこじらせラブコメディ!


感想

複雑なファン心理をメインテーマにしているのが面白い。2人のマイナー論、私もかなり分かっちゃいますなぁ。


~~~


もし、『ロゼリウス戦記』がアニメ化するほどに売れていなければ。

 ごくそこそこ、打ち切りにならない程度の売上のみをキープし、俺のような根っからのファンだけから支持され、細々とシリーズが続いてくれていれば……


 そうだったとしたら、ひょっとすると、あんな悲劇は起こらなかったのではないか。

 アンチなど湧かず、オワコン扱いされることもなく、心から作品を愛する人々だけによって、『ロゼリウス戦記』を取り巻く環境は、今も穏やかであり続けたのではあるまいか――……


~~~


「……そうやって、人気取りを優先していく――すると、作品はどんどん最大公約数的で、大衆迎合的なものになっていくのよ。一番最初に作品に託されていたはずの心、真っ直ぐで混じり気なかったはずの想いが、やがては濁り、けがれてしまう」


「だから、人気が出たら純粋じゃなくなると?」


「私は、自分が好きになったものには、歪んで欲しくないの。私がそれを好きであるのと同じように、その作品自体にも――作り手の、それがただひたすら好きだから手掛けているんだっていう、見返りを求めない、愚直な心が込められていて欲しい。そのためにも、売れて欲しくなんかないのよ」


~~~


ううむ、ほんと共感できてしまう。「平穏」と「純粋さ」という2つの視点から「売れない方がいいんじゃね?」というマイナー論が展開されるんですが……作者さまは実にファン心理を理解してます。マジで分かりすぎる。


さらに、それを自然な流れでラブコメ展開につなげているのも上手い。そうきたか! って感じ。ヒロインの「早瀬」さんは、かなり面倒くさいんですよね(笑) もうプロローグからいきなり重くて面倒くさい。初めてキスした相手とそのまま結婚するつもりだと……!? キャラが立ってて掴みから興味を引かれます。

そして、途中でこじらせてる原因が発覚するんだけど……これも分かりすぎてつらい。めちゃめちゃで破綻してる理論展開なんだけど、あるあるなんですよね~。

そして、彼女に心を開いてもらうために主人公は頑張る。やさしさと男気ある行動がグッときますね。

心理描写が丁寧な、リアリティのある作品です。


状態:完結 

文字数:130,384文字


個人的高評価ポイント

◇ アイディアが良い!


作品URL

小説家になろう https://ncode.syosetu.com/n3104cz/

カクヨム(加筆修正版) https://kakuyomu.jp/works/4852201425154898960

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