地球は既に侵略されている  (完)

作者さま:城島 大

キーワード:エイリアン シリアス ラブコメ ハーレム


あらすじ

引きこもり生活を続けていた主人公が久しぶりに登校してみると、とあるクラスメイトの様子が変である。主人公が「お前、実は宇宙人だろ?」とからかってみると、彼女は本当に宇宙人だった!? 


感想

ざっくり分類してしまえばハーレム系のラブコメなんだろうけど、シリアス・アクション要素も強め。変化球が読みたい人におすすめです。ヒロインとなる宇宙人も触手型の寄生生物だし。


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それはまさしく、この世のものとは思えないものだった。

グロテスクで滑りがあり、時折沸騰した水のようにボコボコと形状を歪ませている。

紫を基調に、太陽の光に反射して青くなったり白くなったりする形容し難い色には、どうしようもなく生理的嫌悪を覚えてしまう。

触手は何本も折り重なり、それらは一つの羽根のように、彼女の背中で蠢いていた。


~~~


人型美少女の「○○星人」じゃなくて、異形の「エイリアン」って感じでインパクト抜群。話の続きが気になる展開でしょう。


そして、主人公もなかなかの曲者。


~~~


「フッ。いい機会だから異文化交流の一環として教えてやろう。いいか? この世の人間共は、自分たちが作った常識という価値観に支配されている。故に俺やお前のような異物は排除したくて仕方がないのさ」

「排除されるのは困る」

「だろうな。だから奴らと仲良くやりたけりゃ、常識を覚えることだ。皆と同じことをして、同じ価値観を持って、誰かが言った意見に全力で同意しとけばいいんだよ。それが生き残るコツだ。凡人はな」

「オマエは凡人ではないのか?」


俺は思わず笑った。

ちょっとは見所のある奴かと思ったが、俺の才能を見抜けないようではまだまだだ。


「当たり前だろ。俺は従順なサラリーマンを量産する、学校という下らない装置に早々と見切りをつけた男だぞ。凡人共が、社会じゃまったく使わない知識を詰め込むことに夢中になってる間、俺は黙々とネットの片隅で知名度を貯め続けた。結果、今ではSNSフォロワー五万人を超える大人気アフィリエイターだ。これがどういうことかというと──」

「話が長い」


俺の高説は宇宙人に一蹴された。


~~~


宇宙人との衝撃的ファーストコンタクトなのにこの態度(笑) ただの口だけじゃなく、ネット上では人気者なのが個性的。自分が引きこもりのくせにネット上ではドヤ顔で人生相談を受け付けていたりもして良い味してます。


そして本作の軸になってくるのが、引きこもりと宇宙人との共通点。両方とも人間社会の常識に適応できていない。生きづらさと孤独を感じている。宇宙人の話かと思っていたら、主人公の話であり、読者自身にも当てはまるかもしれない。一気に共感してしまうというか、引き込まれます。ここら辺の書き方が上手い。


ストーリー展開だけでなく、中盤以降のアクションシーンも迫力満点。うねうねとした触手が暴れまわる、物を壊す。文章力があって頭の中で絵になりますね~。


6万8000字と短めな文章量のなかに、アクション・シリアス・ラブコメ・主人公の成長、とおもしろい要素が盛りだくさん。密度が濃い! ぐいぐいテンポ良く読み進めてしまう作品です。


あと、個人的には最後の締め方も好き。かなり笑っちゃいました。


状態:完結

文字数:68,096文字


作品URL

小説家になろう https://ncode.syosetu.com/n1977eu/

カクヨム https://kakuyomu.jp/works/1177354054886002775

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