SF

汎銀河企業体 メロンスター.Inc  (完)

作者さま:鶴見トイ

キーワード:SF コメディ ブラックジョーク 社畜 理不尽 シュレッダーロボ


あらすじ

銀河的大企業「メロンスター.Inc」。しかし、その実態は超絶ブラックである。そんな会社に勤務する会社員「セン・ペル」の理不尽と不運と命の危機にまみれた悲しい日常。


感想

すさまじい密度のギャグとブラックジョーク。作者さまの頭の中はどうなってるのか? 良い意味でやばい。面白すぎる。

この作品の魅力は私ごときの筆力では紹介できません。合わない人には合わない作風だとも思いますし。実際に読んでもらうしかない。というわけで、2つほど文章を引用させていただきましょう。


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メロンスター社は、銀河全体に営業拠点をもつ大企業である。従業員数は三百億人を超え、時間旅行ツアーからアサガオの栽培、哲学者の派遣業から夏休みの宿題代行まで多岐に渡る事業を行っている。会社案内の事業内容ページがあまりに厚いため、撲殺事件の凶器として使われることが頻発したので、最新の会社案内では事業内容を「かなりたくさん」の一行ですますようになった。これによって年間百三十万本の木が救われることとなったが、大得意先をなくした製本業界は大不況に陥ったため、自殺者が大量発生した。これらの自殺者はどういうわけかきまって木に首をくくったので、首吊りを防ぐために年間一千三百万本の木が伐採されることとなった。

セン・ペルはこのメロンスター社のシュレッダーマネージャーとして働いている。主な内容は書類をシュレッダーにかけることなのだが、招いていない仕事が頻繁に舞い込むため、毎回生死の境をさまよう羽目になる。それでも今日もセンは出社し、仕事に勤しんでいる。


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ケンタウリ・モヒートは答えなかった。それを当然だと思う向きもあるかもしれないが、事実は異なる。ミントとケンタウリ・ラム、アルタイルフレイバーのソーダ水、それに氷砂糖をある一定の配合で混ぜ合わせると、ケンタウリ・モヒートの中で生命が発生することは銀河じゅうのバーでよく知られた事実である。このケンタウリ・モヒートの中で発生した生命は驚くべき早さで成長をとげ、グラスに浮かぶ氷が溶け切るころには温暖化の影響について論じるほどになる。このくらいになるともはや口に入れるのが気味悪くなるので、流しに捨ててしまうほかない。その際に聞こえる怨嗟の声はそれはひどいものだが、だからといって流すのをためらうと、グラスの中の生命は生存権を確保しようと司法に訴え始めるので、めんどうなことになる前にさっさと処分してしまうのがよい。


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これを読んで面白いと思ったら、ぜひ読んでください! すばらしく楽しい時間を過ごせるでしょう。私は爆笑しました。


状態:完結

文字数:113,074文字


個人的高評価ポイント

◇ アイディアが良い!

◎ 高い完成度!

☆ 私の特に好きな作品です!


作品URL

https://kakuyomu.jp/works/4852201425154990397

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