後書き

 作者の旭 晴人です。ここまでお読みくださった皆様、誠にありがとうございます。


 連載開始から一年と九ヶ月。二章合わせて36万文字近い大作となったアカネウォーカーですが、まだまだ先の先まで構想がありますので、気長に書いていくつもりです。よければ最後までお付き合いください。


 二章は、お祭り展開っぽいトーナメント戦から始まって、終盤はかなり書いていても心が苦しくなる展開となりました。正直、当初予定していた展開から大幅に変わっている部分もあって、僕自身これからどうなるのかとハラハラしているところです。


 また、今回は一つの挑戦として、王様、レザード(一応白皇もかな)という、これまであまり描いたことのない種類のキャラクターを作ってみました。


 つまり、良いやつ、悪いやつ、と単純に分類できないキャラクターです。


 こういうキャラクターは、意図的に書くのを避けてきました。というのもこういうキャラは、読者様の読解力をかなり信頼しなければ(あえて誤解を招く言い方をしています、申し訳ない)単純に「ウザいやつ」で終わってしまうからです。


 皆様からのコメントでは「王様偉そう」「白皇嫌い」「レザード○ね」など、予想通りのものをたくさんいただきました。これはシオンの目線から彼らを見た場合に湧き上がる普遍的な感想であって、物語に没入してくださっているからこその感想だと思います。ありがとうございます。


 さて、二章の最後まで見て、見る目の変わったキャラクターはいたでしょうか。実際、彼らは決して「良いやつ」ではありません。でも、物語の中で、必ず倒したり殺したりしなければいけない悪者ってそう多くはないと思ったんです。


 少し下衆でも、悪党でも、実際は協力し合って生きていかなければならないことのほうが多い。それが一国の王やヤクザの頭領ならなおさら。


 チートですべてを屈服させ、王や神さえひざまずかせるなろう系主人公に対する、一種のアンチテーゼでもあるかもしれません。僕は、力一つで思い通りになる国や異世界なんてしょーもないと思っていますから。


 空想上の世界でも、この世のどこかに本当にあるかもしれない異世界でも、全て積み上げてきた歴史の重さがあってしかるべきです。簡単に思い通りにはならない。その世界で、等身大の力を鍛えてどのように生きるか。これからも異世界のリアリティを模索して描き続けていきたいと思います。

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