三章 元勇者、王族との関係に悩む
三章 元勇者、王族との関係に悩む(1/4)
木々が
山中であった。パルムック村より十数分でたどり着く名も無き山、その
パルムック村からほど近い山中。細長い
「む…………?」
「ふむ。今になって
ぐ、とその手が
○
ランテクート家、深夜の
「アル
「ダンスオブデス。エイン王都でも
マクドナルは感心したように
死の
これは戦乱の中、連合国
「いやはや美術の教養もお持ちか。生前はどのような?」
「つまんない男でしたよ。こんな
アルの骨指が机に並べられた
「ほう、
「死んでからハマるのも
「では一番、受けて立ちましょうか」
「ずっと遊んでたかったんですが、人生そうも行かないようで。……死んでるのに」小手調べと『
「勇者のお仲間ともなれば、
しばらく、
「──
厚さを増す『
「
むしろそれを望んでいるという
(
「王への
「──
「
いよいよマクドナルも説得しにくくなるということだ。そこで、ミクトラが尊敬する仲間から
「…………いやまあ、ご心労お察しします」
アルはそう言いつつ、『
「うむむ」やや情けない顔をマクドナルが表した。
貴族では無い、親としての表情だ。
「
「そこをなんとか」「いやでもしかし」「いやいやそれは」「なんのどっこい」
骨と父親の夜は
「では──
「そう何度も
数日後。王城へと向かうアル、ミクトラ、ハルベルの姿があった。
「胸がちょぅっと……」
「す、すまない」
何せ王との
アルの方は先日
フブルが
「
「私馬車とか乗るの初めてなんだけど。……ていうか……お庭が……広い……」
城門を
フブルに会った時は通用口からだったため、正式に
「よっこいしょ」
フォーマルなシャツにズボン、
アルがミクトラへと手を差し出すが、
(アインアル王か……)
アインアル・ア・エインヘアル。
エイン王国三十五代国王。エイン王国は、千年以上の昔に、
今代のアインアル王は、五カ国連合の
勇者アルヴィスとも親しい。親しかった。ただ今となっては、アルは
「あれが……」「王城にアンデッドを招き入れるとは」「勇者の仲間というのは真なのか」「それもだが、あの少女だ。ただの
(無視よー無視無視)
(がるるるる)
事前の打ち合わせ通り
「アインアル王、
王座の右に立つフブルの声。
アル
一体と二人は、姿を見ずともその『王器』とでも言うべきものを感じ取った。そういう気配が、今代の王には備わっている。
「王」フブルの
「おもてを上げよ」
アルは
(遠目には何度かお見かけしたが、
(うひゃー、すんごい美形)
(おひさー。ってまあ、言えねえけども)
三者三様の思いを
「遠路、よくぞ参った。
「いや、
「はっ……! か、過分な御言葉を……」「はいぃ……」
感激と
「
アインアルが興味深げにアルを見ながら
「アルヴィスも
「え~、お
「なんだ。
「い! やぁ~、そんなことは……はは……」実際まだちょっと思っている。
その様子に、王は笑って「よい」と
「
アインアルの目が、アルからハルベルへと移った。王の視線を受け、ハルベルは静かに息を
(ハルベル……
ミクトラが
(ハル、ベル……)ミクトラは
(ほお……王の
(この人が、王様……かちこちになっちゃうと思ってた)
ハルベルは意外な思いを自分に対して得る。これは、
(……私の中にある、みんなとの
礼を持たないと言うことでもない。
(思い、出すんだ)
ハルベルは目を
「ハルベル・エリュズ。求めるものが有ると聞いたが」
王の言葉が降りてくる。
「はい」堂々と、ハルベルは王に応えた。
「エンデ村を、私にください」
(はい直球きたぁ────!)
(オブラートというものをだなハルベル────!)
「な……」「大それた」「村一つだと」「エンデ?」「バルキア国境近くの……」「平民が何を」「だが
「静まれーぃ。
「ふむ。大きく出たものだ」
「王よ、お待ちを。言葉が少し足りていないのではないかな、ハルベルよ」
助け船、というようにフブルが水を向けた。
「あ、う、ええ、えーと」
ハルベルはわちゃわちゃと手を
(おやおや、度胸は満点じゃが)フブルがおかしそうにそれを
(ま、クソ度胸はあっても手段はまだまだ)アルがシャツに包まれた
「アルよ。発言を許す」
「差し出口ながら。今はこの
「ほう?」
「報告は行っているかと思いますが──エンデ村の住人は
重臣
「動くとは言え死人では行政上、村として存続させるは不適当。そうなれば税も取れませんし資源庫たる森の管理も
「税も森の管理も従来通り、というわけか?」
「そ、そうですそうです!」
ハルベルが
「実利だけ取るならば
「え……」
ハルベルが意表を
王が居並ぶ重臣の内、数人の集まりに目を向けた。
「ではまず一つ、その
「それに将来はどうなる? 何十年の後、
「次。王領の村一つ、
「さらに、これが一番大きいが」
重臣
「
神は自然の生死を
(実際
王に
「これらについて、解決を示せるか」
ぐ、とハルベルは言葉に
(さて、このままだとエンデ村
アルは視界を後頭部に作り、ハルベルを見守る。
(どう、すれば……)迷いつつ、ハルベルはどうにか声を上げた。
「私が死ねば、……村の
ふん、と先の問いを発した重臣が一応の
(次は……)将来と、
「ハルベル」
そこにミクトラがハルベルの
「許す」
「ありがとうございます。では──」立ち上がり、
「村の将来についてですが、これは国が負うべき責務です。そもそも、王領の村が
「この先ともすれば数十年、
「それを言うならば、
重臣がその光景を想像したか、むうと
「次の
「
反対派重臣以外の場の人々に、検討の色が広がっていく。
(ミクトラさん……ううっ、
ミクトラを拝むように見上げた
(ふっ……ハルベルがめでたく
こういう人である。
「──しかし、その
「それなら、私の
「
「…………ふはっ」
場にいる者
「ふっふふ……いやすまんすまん。アルよ。お主を見ておると
「は──はっ、いえ、私も
王の右後ろにいるフブルの(バカ! ウカツ!)的な視線を受けながら、アルは(うおーやっべー!)と弁解する。
「陛下! 最大の問題が残っておりますぞ!」
「
反対派の続けざまの言葉に、アインアルは経過を問う視線をフブルに向ける。
「座学は
それに、主に
「道理と先行きは立っておる、しかして
(ふいー、なんとか残したか)
アルの
「しばしの時をいただけるのならば、
「神の
「確実に出来るかと言えば
指を立てるアル。周囲の者
「ふ。やはりお主は
アインアルが立ち上がる。
「
三人が
「何か?」
「アルヴィスの話題でな、思い出した。──
王ではなく、アインアル個人としての問いが
「
「やはりか」とアインアルは
「原因は……まあ分かり切ったことだが」
「
「ふむ、新しい
「で、あろうよ。──ちと、
「……
「アルヴィスの仲間としてな。
「三年も政務で何も出来ぬ父ではな。分かりました。何かあればしてやっていただきたい」
「あいわかった」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます