二章 人骨、先生をやってみる
二章 人骨、先生をやってみる(1/4)
「……………………」
アル
「むう……ダイスぅ……お姉ちゃん寒い……」
注意して
(両親が死んだばかりで、弟が異常な育ち方をすれば
「……ァ────ア、アァ──────」
声。か細く、呼びかけるような。精神へ
「──
だがダイスは
「ダイス……? どうしたの? おしっこ?」
「いや。
心配を向けてくるルーラットへダイスは答え、毛布へと
○
「とりあえず服を買いましょ……買おう」
「アルは骨マントじゃ
「そりゃそーだ」
「ハルベル。君もだ。城に行くならばある程度はな」
「え、私も!? お、お金あんまり持ってないけど」
三人が話しているのは王都平民街の宿、その部屋だ。
アル
「そんなわけで昨日はフブルさんの使い
「へええ。それで王都に着くなり、すぐ宿に入っちゃったのね」
「まあ、昔はそもそも
ミクトラが補足した。さらに言えば、連合設立において国家を
「それでも、全くの礼法無知や下民丸出しの服では許可が下りない」
ましてや、
「まあ、フブルさんだから多少の
なるほど、とハルベルが
(りょ、旅費はアルに
「そんなわけで今日はお買い物だ。ま、
「アル大好きー! 神様!」
「あっハルベルずる……いや、はしたない!」
ハルベルが感激の
「止めてくれーぃ。苦手なんだ神様ってのは。ミクトラ、見立てを
「任せ……む? あ、アルの服も私が!?」
「あ、あたし! あたしも選びたい! アルの服!」
ハルベルがずばばばば、と連続で挙手する。
「好きにしてくれ。どうせこんな体だ。何着たところで──」
「に、似合うな……」「まさかのまさかだよね……」
「うそーん」
アルの外見には少々の
最初のフォーマルなシャツとサスペンダー付黒ズボンを試着した時点で、『限界スリムかつそこそこの長身』なアルは、実に見事なモデル体型であることが判明した。
ハルベルはさっさと自分の服を決めてしまった。後は着せかえ大会だ。
「むううう、この服も中々……」
「次これ! これ着せてみよ!」
「これは──一風変わった見本としてもいいかも……」「ていうかアルのウェスト、私より細い……」「ずるいよね……」
いつの間にか店主も混じってあれこれと検討している。今やアルの方が苦い顔だ。
「もーやめ! これでいいだろ! ミクトラが最初に持ってきた
ぶうぶう言う女性
(ま、王城じゃあさすがにちょびっと
元貴族で装備も整っているミクトラは問題なし。ハルベルも本体の見目はそこそこ
店を出たところでフブルの使い
「良く来たの。──なんじゃアルヴィ……アル、そのカッコ」
「昨日買った。似合う?」
「……ほうほう。存外に悪くない。これなら、お主の衣類は引き取らんでも良かったの」
「じゃあ返しておくれ」
「もう勇者の遺品として文化財化してもうた。無理。ほれ、ミク
翌日の王城、
「んむ、ハルベルちゃんもシティーガールの
勇者の仲間として
アルとフブル、
「はっ……分かりました。失礼いたします」
「し、しつれいしまーす……」
側人も退室させているため、
(このお方が国政を
(見た目は
これに、フブルはやや
「困ったの。これでは話が始まらん。アルよ、なんとかせい」
「なんとかっつってもさあ」
アルが
「君たち、そう
「何
ブン投げられたペンがアルの
「んでまあ、エンデ村のことなんじゃが」
しばしてんやわんやした後、三人と一体が
「あの村を
「その通りですね。税や
「まあ書類
ぎし、と音がするようにミクトラとハルベルが固まった。これまた無理もない。何せこの国の頂点だ。
アインアル・ア・エインヘアル。五カ国同盟の
エイン国は千百年の昔に神の血を引いた初代国王によって
「王は当然
宿のアテはあるか、とフブルが目で問う。アルが
「はっ……そうだ!
気づいて、アルがからころ
「あーそれな、えーとな、うーんと……無理」
(あ、アルもこんな態度を取るのか……。昔の、対等のお仲間、だからか)
「ナンデー!」からころからころ。
「あのなあ、アルヴィス名義の口座なんて
言われて、アルははっとする。確かに、世間からすれば死人の預金だ。
「あの時だって、
なるほど、という顔でハルベルとミクトラがアルを見た。
「え、じゃあ
「勇者アルヴィス基金として五カ国連合内でありがたく有効利用を」
にっこりとフブルが幼童の
「ふざけんなチクショー!」
白骨がかしゃかしゃころころひとしきりいじけて、
「
「アルー、元気出してー」
「
呼びかけられて、ミクトラが居住まいを正す。
「王都の宿でも
「ら、ランテクート家、ですか……」
半分
「
「……分かりました。話してみましょう」
観念するようにミクトラが帰省の
「つぎ。ハルベルちゃん」
「は、はひっ!」
これまで我関せずともごもご
「あーよいよい。落ち着いてからでよい。
「げほげほ、すいまふぇん……
「うん。それでの。お主の
「
「あ、そこからか」ぽむ、とフブルが手を打つ。「
その意味で、真の
「功績で言えば
「おお、なるほど」
ミクトラが表情を
「が、学園?」
反面、ハルベルは
王立
「いいんじゃないの。当然
そこへ、立ち直ったアルがのっそりとやってきた。うるさげにフブルが手を
「ふん、まー良かろ。
「さて、どうするかの? アルの話に聞くお主の才からすれば、多分多少の苦労はあるが」
「
「むむむむ……でも、得られるものもあるわけだよね?」
ハルベルの質問に、ミクトラとアルが
「体面上とはいえ
「それに、
「ならやる」
フブルが
「
「デメリットが私のきつさだけなら、迷う意味ないです」
きっぱりと、ハルベルが答える。先ほどまで
「私は、村の
「──なるほど。アルが連れてくるだけはある。
にやりと笑うフブルが、王立
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