一章 骨勇者、宿敵と再会する(3/3)
○
日も落ちたパルムック村は、
「直接お礼がしたかったので、丁度良かったです。両親の部屋が空いてますから……」
「いやいや、ごちそーになりましたです。ところで、ディ……いや、ダイス君は」
「
ダイスなる少年は夕食には現れていない。洗い物をするルーラットを
「おお、こんなところに本当に温泉があるとは……観光資源にでもなりそうなものだが」
ミクトラが
「なんかね、
「ふうん──うお、
そうして。女性
「はぁ……うぅん、たまらないな……」「山歩きで
ミクトラとハルベルが、それぞれの
「うおー骨身に
(ネタが黒いよ……)(ツッコんだ方がいいのだろうか……)
スルーされた。ハルベルが視覚
「別にアルもこんなの無しで
「な、なっ、ハルベル! いか、いかんぞ! その、そのだな、
「わたしアルならいいもん」
ミクトラは顔全体を真っ赤にするが、ハルベルは上気した顔ながら平然としたものだ。
「いや、それ自体は私もやぶさかでは……いや
かしましい
(あ~……頭の中まで洗われる……いい……思えば温泉なんてゆっくり入ったことなかったなあ…………もうこのまま
ざばり、と音を立ててアルが
「ええと、その、アル。山で言っておられた……んん、
どもりつつも聞いてくるミクトラに、アルは
「──
「知らない方がおかしいでしょ。私でも知ってるもん」
アルの問いへは
「
ミクトラが指で湯を
「勇者アルヴィス・アルバース様によって
「前にも言ったが、
「ふむ、それで、話の流れからすると……」「山から下りる時にちょっとは聞いたけど……」
二人の不安げな問いに、アルが重々しく頭骨を
「そ。あいつ──ダイス君は、
湯気の中に何とも言えない
「──死んだ……んだよね、
「確かに死んだよ。
アルが冷厳に告げる。ミクトラとハルベルは山での
「──
深夜。ルーラット宅の屋根の上。月と星明かりの下、一人の少年──ダイスが月を
「来たか」
「中々
背後には人骨の姿。村が
「──最初に聞くぞ。やる気があるか」
言った
三年前。
周囲は
その
「くそ、決まらん。……このままやり合っても、この先の余力が残らんぞ」
老
「イザナ、フブルさん。補助
決断的に声を発したのは勇者アルヴィス。その手の神聖
「
「………………」
対する
カラミティ・ブレス。
光と
「そうしたいのは山々だが、な」
アルがわずかに
「
「
「ネーガル辺りの遊びだろうよ。
死と
「ったく、神ってのは……で、三
「人間の幼体は動くのもままならんのでな。
(うーわ、
そこで、ダイスが
「
「それだ。何を考えてんだよ。人間に産まれたからって」
これに、ダイスが
「異なことを。人に産まれたのだ。重きを置くのは当然だろう」
「……お前、自分がどれだけ人間殺したと思ってんだよ」
やや声に険を
「
「な」
「貴様とて、人に産まれたから勇者をやったのだろう。
思ってもいないところから問いを
「それともなんだ。転生元を
千年以上の達観。アルの
「…………とりあえずは
「さてな」
ダイスは鼻で笑って答える。これ以上話すこともないというように、月へと向き直る。
「
アルも
(ぐぬぬ……!)
それでも、
「……
翌朝。ルーラットと村の人々に見送られ、アル
「お気をつけて。近くに来られたら、またいらしてくださいね」
「はい!」「
アルが
「ほんとに、あの子ったら……。やんちゃな上にシャイなんだから」
「あ、あはは~。やんちゃね、やんちゃ……」「ま、まあ、人見知りする時期ですよ」
この女性の神経も
「王都へ行かれるのですな。ご
村人から見ればアル
「やれやれ、分不相応な……」
村を出て、人の目が消えたところでミクトラが
「それで、どうするの? ダイス君だっけ」
「とりあえず様子見。フブルさんには伝えとくけど、さて生まれ変わりを
「王都に行く前にとんでもない事情を
どもるミクトラにアルは
「──ま、方式は
太陽が頂点に達するまでまだ大分ある。日のある内に王都に着くため、アルは歩を進めた。胸の内に、かつての宿敵の
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