一章 骨勇者、宿敵と再会する
一章 骨勇者、宿敵と再会する(1/3)
「ほい、そこ
「うあ、ほんとだ……えーとえーと、『連合五ヶ国はエイン王国・ヘイベル
「正解。けっこー覚えてきたね。
「えへえ。先生が
夜の森である。その中に、
異形は、マントを身につけた人骨……
少女の方は(人骨と比べれば)特筆すべき点は特にない。この地方における
スケルトンの名をアル、少女の名はハルベル・エリュズと言った。
「ハルベルには何より熱意がある。学ぶ側としてはそれが一番重要だ」
言葉とともに木々の中から現れたのは、
「えへへ……でも、村のために必要なんだもの。やる気にならなくちゃ
「だな。
──およそ半年前。ハルベルの村の住人は
「ま、それはさておきミクトラ。
「ああ……けどこれ、どうするんです……んん、どうするんだ? まさか……」
ミクトラは、
「よし、飯にするか」
「わーい」森の村育ちでさして
「やっぱり!」ミクトラが悲鳴を上げた。
「その、こういう──なんといっていいか、その、
「ハルベル、調味料出して」「はーい」
「聞いてない……うう、前の町で食料を
「いい加減慣れなさい」
すこーん、とアルが清潔にした岩の上で愛剣スカットゥルンドを
「それ、神から
「生きるためだ。許してくれるさ」
しれっと死人が言い、てきぱきとネズミを
「上手に焼けました~」
「うわおいし!」「うぐぐ……
「こいつら
そう言うアルは、
食事が一段落して、ミクトラが
「しかし……もうあと二日も歩けば王都エイエラルドか。色々あったな……」
「そうだな。色々あった」
「──ほんと色々あったね」「いやほんと」「マジでマジで」
三者三様にこれまでの旅路に思いを
ミクトラは火に照らされるアルの横
三年前、世界を危機に
(アルの正体はかのお方だ。
(アルからは仲間として接してほしいと言われたし、努力はしているんだが……うぐぐ)
油断するとすぐに
(落ち着け……心の中に理想の勇者アルヴィス様像を創り出すのだ私……完全無欠の……公明正大……誠実
苦労して精神の
「どああ!」
「どああって」ハルベルは苦笑いだ。
アルが表情には出ないものの、
「
「ぐわ!」
たったこれだけでミクトラの豊かな胸の内が多幸感に包まれる。弱い。
「ぐわって」
「た、
「いや別にいいんだけど、君そういう
「あああああああ~…………くそう、私の友人が尊すぎる……!」ミクトラはじたばたと、地面を転がる。
「変なタイトルみたいなこと口走り始めた」
「見ないでおいてあげようよ。明日も歩くんだし、
共に旅した一月で慣れてしまったのか、気にもせず腹を満たしたハルベルが「あわわ」と
「そだな、早めに休むか。ミクトラ、最初の見張り
「うううううう~~~~……
翌日。アル
「無理を通せば今日中に王都まで着けなくもないが……」
ミクトラが一応、というようにアルへ呼びかけるが、
「どうせ着く
骨の判断にハルベルが
「さんせー。あの村で
「
やれやれ、と言うようにアルが
「そういえば、ハルベルは中々
「えへへ。お父さんがね、油と
ミクトラが
「ああ、そういえば君の村がある土地は王領だったな……。王都を行き来する代官と共にそういった品も伝わるのか」
言いながら、
(
王都近辺ともあって
(だが、何やら
ミクトラは村内へと入り、ややあってから村人を見つける。
「もしご婦人、少しおたずねしたいのだが──」
「
十数分の後、アルらの元へ
村から一時間ほどの場所にある山に、最近
三者が山を見る。標高で五百メル(一メル=約一m)ほど。さほど高くはない。
「どうも、ハルベルを有望な
「でへへ、そんなあ」
ハルベルが脳天気に照れる。アルのような存在を村や町に入れるには、
「まー仕方ないな。それで組合には?
「まだ受けるとは言っていない。とりあえず
今度は一体と二人で村へと入るなり、数人の村人
「どうか
現状に対し、村はとりあえず
(
アルの想像通り引き受けてくれる
ちなみにアルは
「
(ナイスだミクトラさん! ベテラン
「今度は山歩きかー。アルー、おぶってー♡」
休む
「あの……
村の出口辺りで声をかけられる。三者が目を向ければ、そこにはほわほわとした茶の
「
「わ、私、ルーラットと言います。この村の者なんですけど、その、お願いが」
「どうしたんですか?」
ハルベルの問いかけに、女性は息を整える。
「じ……実は、私の弟なんですけど。いつも山に入ってるんですが、今日はまだ
「分かった。弟君の年の
ミクトラがそう言い、アルも指骨で輪っかを作る。通常の
「その、弟は
「三
思わず、アルが声を出してしまう。目を白黒させるルーラットを置いて、
「急ご。フツーに危ないよそれ」「そうだな。私の弟と同じ
アルがハルベルを
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