一章 新人冒険者(骨)、はじまりの村にてオークと戦う(6/6)
◯
数日後。
「あ~……う~……」
「え~……お~……」
人骨と受付嬢が、向かい合ってぎこちない笑いと汗を浮かべている。最も、人骨──アルはそんな雰囲気だというだけではあるが。
場所は戻ってアロンダ、冒険者組合である。
『簡単な護衛を請け負ったはずの初級の冒険者(なお骨)が、
という事態に対する反応である。
──あれから。
早馬で事態を知らされたアロンダの駐留軍が隊を差し向け、残ったオークを連行するのに同行する形でアルもアロンダへ戻ってきていた。
状況はレヴァや村長ほか、村の人間から
「この功績と組合本部の協議により、冒険者アルは『
カウンターにはちょこんと置かれた荷運び護衛の
「おおーう、思ったよりすんごい量!」
アルが
「まあ、オークに占拠された村の解放なんて、本来軍隊がある程度の
ひきつった笑いを浮かべながら、受付嬢が手紙を差し出す。
「
渡された手紙をアルが受け取る。サインを見れば、
「フブルさんからか。ああ、えらい話が早いと思ったら」
「そ、それやっぱりフブル=タワワト魔導
おののく受付嬢に
『いきなり派手にやりすぎじゃ馬鹿者』書き出しからこれである。
『だがまあ、これで分かったろうが。初仕事にしてこの
(す、好き勝手言いやがって~……手の回らん地方の治安維持押し付けてるだけじゃん!)
『何かあればこれで連絡を
手紙に同封されていたものは、
「どっちかっつったらこちらの方がご
とアルは思う。この通信符で、
手紙と一緒に
「やっぱり勇者アルヴィスの仲間というのは実力も含めて本当なんですね……。オークの集団を一人で倒しただけじゃなく、まさかフブル様から直接書状が来るなんて」
「おやお嬢さん、この豪腕を疑っていたと?」
「骨じゃないですか……っていえ、疑ってなんてそんな」
「度合いってことでしょ?」
「お、もう里帰りいいの?」
「仕事あるもの。もう帰り
「そりゃ大きな夢だこと。ま、骨の
からかい半分の激励に、レヴァが鼻を鳴らす。
「ふふん。見てなさいよ。ま、話戻すと、世の中にはちょっと話したくらいのことを友人って言う
「ああ、なるほど目の前に今」
「ひどくない!? ねえちょっとひどくない!? 一緒に頑張ったじゃない!」
周囲の冒険者からは奇異の視線。受付嬢に冒険者のアンデッド、女行商の組み合わせだ。無理もないことではある。アルは辺りを見回す。多種多様な人種が、
「そうだな、レヴァ」
アルは
「お、何? くれんの?」
「あーげーなーいー。そうじゃなくて、この辺で一番でかい酒場ってどれだ?」
◯
「うおーい! 骨野郎ありがとよ!」「今度会ったらアタシが
「いいの、
夕暮れ時の路上で迎えるのはレヴァだ。店内の歓声が路上まで聞こえてくる。
アロンダ一の酒場『ヴァルハラ』、その
聞いてくるレヴァも、エールの入った木のカップを抱えており、その頬はまたしても赤い。
アルは
「こんな体だからね。あんまり金は必要ない。それに、冒険者や組合の人とは仲良くしときたい。受付嬢さんにもよろしく言っといたし」
指骨が指すヴァルハラ店内では、彼女もカップを勢いよく空けているはずである。
「ふうん、へー、ほー。勇者サマはああいうのが好み?」
ずい、とレヴァが顔を迫らせる。大分近い。やや目が
「色も
「分かってる分かってる~。恩人の秘密なんて言やしないわよ……もう、次の町へ?」
「村でも言ったが、探し人がいてね。また会う時もあると思うから、その時はよろしく頼むわ」
「うん。ありがとうね、アル。その……色々。元気で! また会いましょ! ……絶対ね!」
「それがあの世じゃないことを祈ろうな、お互い」
馬鹿、と苦笑するレヴァが手を差し出す。手骨でそれを軽く握って、アルは歩き出した。
(……この前はアンデッドのみんなで、今回は行商の女の子か。ま、進歩進歩)
スケルトンが夜の
「ほんと……またね、勇者サマ。お礼なんて、まだまだし足りないんだから」
酔いに浮く身体の中で、
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