第四章 世界の求めかた(4)
◯
「これはこれは王女
「ええ、お待たせいたしましたデュケナン大司教」
評議会でデュケナン大司教が
ちなみに今日
「それで、どうしますかな? 最近は
「そうですね」
「お心は決まりましたかな? 私めも
「あら、あらあら。どうやら
そうであるなら、評議会に呼んでいます。
いま部屋の中にいるのは、わたしと、デュケナン大司教だけです。
「なんと……それでは、戦い続けることを選ぶ、と?」
「それもまたひとつの道ですね」
デュケナン大司教はそれを〝はい〟と受け取ったようです。とても大げさに天を
「やれやれ、
それでなくても
ふと、話し声が止まっていることに気づいて顔を上げます。
「あ、終わりましたか? このところ
デュケナン大司教は、目を見開いて
「な、なんと無礼なことをおっしゃいますか。まあ、年寄りの──」
「あなたの条件はもう聞きました。司教区の
口上を
「え、ええ」
お返事がそれだけでしたので、わたしは重ねてお
「それでは、わたしが提示した条件はご存知でしょうか?」
「……は?」
間の
なんでもかんでも知っているような自信のある態度でしたので、てっきり、わたしの動向にも気を配っているものと思いました。
しかし、そのお顔を見るにつけ、どうもそうではないようです。もしや、完全勝利と
しかたないので、きちんとお
「ついに本当にお耳が遠くなられましたか? わたしは直接、オルデンボーに
そう口に出すと、大司教は激しく声を
「直接
その口上を聞いて確信します。やはり、
「
「新しい条件、ですと……?」
「ええ、議会からは
「なっ、そんな!? いや、ありえない! オルデンボーは勝っているのですぞ!?」
信じられない、というお顔をする大司教です。
「敗戦国が、なんの
わたしは一から説明をします。
「ですから
「……は?」
デュケナン大司教の勢いが、するりと
それはそうでしょう。王室予算の半分もの金額を口にするのは、わたしとてあまりに少ないことですから。
しかし、いまは特別でした。
「大銀貨100万枚です。その
「そっ、そんなことがあるはずがない」
重ねて告げても、
「
「
「つまり、その問題さえ解決してしまえば、ファヴェールからオルデンボーの軍勢は引き上げる、ということです。
であれば、わたしは解決するためにいくらでも
「い、いったい、どうやって……?」
「かんたんなことです。まずは
「そのような無茶な条件を、いったい
「さて、そうですね。外洋の
ぎょっとした顔で、デュケナン大司教はうろたえます。
「あの大国を動かした、ですと……? い、いったい、どうやって……かの国にファヴェールとのつながりは無いはずでは……」
「この世の
幸い、王室
ナオキさんが語った『エルデシュ数』についての説明は省きました。
「そうか……諸国の商人を集めたのは、外交の顔つなぎをするためだったのですな!?」
「いいえ、
そのような下心で外国人を多く
しかし、大司教には信じていただけなかったようです。
「そのような小細工で
「両国への条件を知りたいですか?
「交易の優先権など
そこは大司教の言うとおりでした。戦争に必要な鉄と銅という鉱物資源は、どの国もいくらでも
しかし優先的に物を
「そのとおりですね」
しかし、わたしはそのことについて、なにも心配していませんでした。
「とはいえ、エイルンラントとネーデルラントの、両国ともに引き受けていただけましたから、関税の安いほうに多く輸出するつもりです。あなたのご心配には
その理由をお教えすると、
「二国同時に持ちかけ、両方ともと優先権と
お
「相手に奪う権利を与えて尽くす義務を生む、など……これでは、まるで何かの
「わたしが
「──魔術士! そうか、
「ファヴェールから
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます