第四章 世界の求めかた(3)
「なあ、ソアラ。……どうせなら
負けた国の負けた王の末路は、
そうわかっているのに、ソアラは
しかし、
「わたしは、王女ですから。まだ政略
予想はしていたが、やはり断られてしまう。
「政略
その
「
「きみなら
「──それでは、その……確かめてみてくださいませんか?」
「へっ?」
すー。はー。と、大きく呼吸をしてから、ソアラがすすすと部屋の
「す、少し、待っていてくださいね?」
パタン。と、どこかへ行ってしまう。
なんだろうか。待っていろ、ということは
……ただ待っているのも芸が無い。
「最後の仕事だ。待ってる間に『オタサーの
天才数学者のジョン・ナッシュが提唱したナッシュ
男と女が複数人いる場合、いちばんの美女に男全員が群がれば、男は
オタサーの
「この場合、ソアラに言い寄るのはだれだろうな……国内の貴族か? あるいは、他の国から
それはソアラが作り上げた勢力図。国内で
古語で『光の出づる国』と意味をつけて名づけられたファヴェール王国。それを取り巻く暗雲たる敵国たち。
オルデンボー王国。海運交易商人ギルド連合。エイルンラント王国。ベネルクス連合王国。モスコヴィヤ
これらのどこから言い寄られるか?
「……あるいは、この全員が言い寄ってきたら……ナッシュ
プレイヤーが増えれば、計算は複雑になる。敵の戦略も変わる。
「……
それだ、と、脳の
「お、お待たせしました」
その声に
──そこには、天使がいた。
ろうそくの明かりですら、
雪の
計算され
いったいなにがどうなってるんだ……そう思いつつも目を
【画像】
「……目が、えっちです」
「いやだってきみそれそんな格好でかわいくて仕方ないだろ!?」
自分から着てきたくせに
「かわいい……かわいい、ですか?
「正直に言うと最高」
「……ナオキさんでも、
「他のプレイヤーからころしてでもうばいとる」
「え、えへへ。そう、ですか……勇気を出したかいがあります……」
白いソックスと短い
この子を手に入れるためなら
ゆっくり歩いて部屋に入ってきたソアラが、
「ここ、ファヴェールがわたしです。他の国に
「そ、そうだな。男同士を争わせて、だれも手に入れられない状態に──」
その
それは
しかし、
「……その、それで、ですね。あの、今後のために、わたしは男の人を
なにか言われているが、いま重要なのはそこではない。
ソアラに歩み寄っていき、その背中にある地図をよく見る。
「オルデンボー……外洋……イェーセンがここで……貿易航路はこっちだろ……」
周辺には8つ以上の国がある。そのどれもがいま、弱肉強食というルールに支配されている。
つまり──弱肉強食というルールにおいて、〝
「いえその前から興味があったとかいうわけではないのですけれどでもどうせ一生の別れになってしまいますし──」
であるならば、顔を合わせたら必ず〝戦う〟という戦略を全員が
だとするなら、
「……そうか!」
だん! と思い切り地図に両手を
「はぅっ!」
「よし、よし……いける! これならやれる!」
「そ、そんなはっきり言わなくてもっ」
「ソアラ!」
「うぅっ──ど、どうぞっ……!」
救うべき
なんだこれキス顔みたいじゃないか
「これで勝てる──いや、うまく負けられるぞ!」
会心の逆転を告げる、その言葉に、
「……………………えっ?」
「えっ」
なんか反応が
ソアラはおそるおそる、という様子で
「ナオキさん……わたしの話、聞いてましたか?」
「なんか言ってたのか? すまん、地図を見て考えてたから、気づかなくて……」
「…………ふ」
ソアラは、にこり、と笑って。
地図に
なにこれこわい。
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