第三章 撃たれる前に計算しよう! sin,cos,tan!
第三章 撃たれる前に計算しよう! sin,cos,tan!(1)
人数少ない評議会は、前回より人数を増していた。
男たちは声を
「敵は
「あまりに早い。間者でもいるのではないか」
「あれだけ
「やつらは準備
「だが準備を進めていたのはそれはこちらも同じことだ。守備兵はすでに配しておる。我々もじきに
「アルマ地方はいいが、イェーセンはどうする。あそこが
「あの河口を守るエーゼンブルグ
「
「…………」
「
「──
二度目の呼びかけでようやく反応したソアラが、机に落としていた視線を上げた。
いつもどおりの姿を心がけている。それは成功している。それが相当な努力をしたうえで
「あちらが
「かしこまりました。陛下の
「よろしくお願いします。まだ
その言葉に、
「
「おお」「なんだって!?」「まことですか!」
ざわめく議会に向けて、ソアラが声を張る。
「王陛下はお
「おお……」
「
「もちろん、
「ようやく
「なにを言うのですか、ウィスカー
「……は?」
興奮してまくし立てていた老人が、気勢を
「
「なっ、この期に
「父上は……父上は、神に
まるで自分に言い聞かせてるみたいだ──そう思ったのは
「ウィスカー
「……小勢をちまちま
いかにも不満そうにウィスカーが言った。ソアラは正面からそれを見返して、しっかりとうなずいた。
「何度でも言いますが……我々は、この
「戦う前から勝利を
「最初から、それを
「
「──最善の
なにを言われても決意を固くしたまま意見を変えない王女。
「〝最善〟を選ぶのは、
ソアラは強い
「
「…………わかり、申した」
そこで王女は立ち上がった。
「でしたら、話し合いはもういいでしょう。わたしの要望はお伝えしました。みなさんは、かねてより準備していたとおりのことに、全力でとりかかってください。さあ──早く!」
ソアラに
どやどやと仕事に取りかかる男たちの波の中で──最初に立ち上がっていたはずのウィスカー
王宮の
べつについてこいと言われたわけじゃない。ただ単に、使用人の同行も
「ソアラ、あんな風に言って良かったのか?」
「…………」
反応無し。ソアラは無言で歩き続ける。
「その……計算は合ってるはずだ。
「…………」
「
「…………」
「……
なにも答えないままずんずん進んだソアラが、
「
そう言うソアラは表情を
「……ひとりでいいのか?」
言った
不安そうな、いまにも大声ですがりついてきそうな、そんな
したのに、ソアラはこらえた。
「ほ、本当は、すごく
「……わかった。待ってるよ」
小さく一礼して、ソアラは部屋の中に姿を消す。
ちょっと長い〝少し〟の時間、
「ついに戦争が始まったな。
「報告ではそのようになっていますね。海に面したアルマ
相手の海軍力のほうが強力ですから、強行すれば船で兵隊をアルマ地方の南部、バルマス
ソアラは厳しい目つきで、
「しばらくは報告待ちだな。いや逆か? 『
戦いのためにやらないといけないことは、戦いが始まる前からやってある。あとはそれがどれだけ通じるか、だ。
「いまのところは、計算どおりに進んでる。敵の
「王室
最適化、というのは戦力配分以上に、積み荷の
なにをどこへどれくらい運ぶか。海路か陸路か。
海路なら、軍船と輸送船の割合を考えなければならない。この時代の海軍というのは、
なので、敵の海軍力が高ければ護衛の軍船が増え、逆に輸送力を優先したければ輸送船を増やしてしまえる。
もともとある船の数にちがいは無いのに、それによって輸送力が大きく変わってくるのだ。ちなみに直近の国に
「最近、
「お
「それは物理的に?」
「はい」
×
◯首になる。(物理)
「もっと他の
「
「
「そうですよね。ですから、負けないように
まずは初戦で、計算が正しく機能しているかを知らないとならない。勝ってくれ。
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