第二章 オークションにかける! ぼっちな姫の癒やしかた(4)
連日のお勉強会に目の回るような思いをしながら、わたしはナオキさんが話すたくさんの計算式を
その日も、いつものようにナオキさんにお教えしたこの国の戦争に関わる要素を、数式の中にどんな変数として
「この国の伝統の
「
相談に
ちなみにこの
なので、主人であるわたしが応えることにします。
「なんですか? いまは少し、
「承知しております。しかし国王陛下から使いの者が来ておりまして、
「父上から? ……すみませんナオキさん、少しだけ中断してよろしいですか?」
「もちろん」
「申し訳ありません。──それで、父上は何のご用でしょうか?」
「このたびの
「……そこには他に
「デュケナン大司教閣下も
父上とウィスカー
わたしは
──しかし結局、いままでならありえなかった
「……いまは、その……手が
「えっ!? ……こ、国王陛下の
王宮から連れてきた使用人の
なので、もう一度はっきりと意思表示をしました。
「はい。
「しょ、承知いたしました」
使用人が下がっていくのを見届けてから、わたしはナオキさんに向き直ります。
「お待たせしました。再開しましょう」
「……良かったのか?」
「ご心配されなくとも
きっとまた
わたしは再び数式に向かい合うために、集中して気を
ナオキさんの計画書を読み解くためには、いままでよりさらに多くの計算を積み重ねなければなりませんでした。どんな商人や算術書でも、これほどなにもかもを数値化して答えを導き出そうという試みは、目にしたことすらありません。
教えられた計算を覚えて、その
ナオキさんは根気強くそれを説明してくださいます。わたしはナオキさんを質問
ナオキさんの計算にはわたしの知識を必要とするところもあって、そこでつまずいた時にナオキさんの質問に正確な答えを返すことが、わたしの主な役割です。
ふたりで話し合い、数値を導き出して、作りあげていきました。
敵の長所はなんなのか、わたしたちの弱点はどこなのか、あらゆる数値を比べて敵より
「最近ソアラの
「わたしも最近はほとんどここで過ごしていますから、しかたのないことだと思います」
「それはそうなんだが……まあいいか」
一室ほどわたしのお部屋になりました。ナオキさんはいつものように
わたしたちは協力して計算を進めました。それは、わたしにとっては、やっぱり初めての体験です。──
数日後。わたしは久しぶりに王宮を歩いていました。
「まったく相変わらず広いところだな。ソア──王女
ナオキさんも
「ふふ、迷わないでくださいね。今日の会議では、大事な話し合いをするのですから」
「わかってるますよ?」
お
「っ……か、会議の時には、笑わせないでくださいね……!」
「ひどい」
そんな話をしている間に、目的の部屋は近づいてきます。
会議室の
「王女
そんなところで、横から声をかけられました。
「デュケナン大司教。どうかされましたか?」
おだやかな
「
「つまり、わたしについて父上の気にかかるような
「わかっ──りました。王女
いつものように返事をしそうになったのを敬語に直してから、ナオキさんはぎこちなく一礼して会議室へと向かわれました。
「それで、どのようなお話ですか?」
わたしがそうお
「わかりませぬかな? あの青年のことです。使用人たちの間では、
なるほど、と思いました。
わたしは暗殺されかけてから、ひとりで出歩くことを
「わたしは
「お
〝
「わたしが
「もちろん私めがそう思っているのではありませぬ。口さがない使用人たちが、そのように国王陛下の
「……では、そのご心配は無用であることをわたしの口から父上にお知らせします。デュケナン大司教の手をわずらわせようとは思いません。ご忠言ありがとうございました」
「
「わかりました。それでは、失礼します」
「お
ようやくお話を切り上げることに成功して、わたしは会議室へ向かいます。銀のように
忘れていたわけではありませんが──いいえ、忘れていたかったのかもしれません。
ですが、すっかり思い出してしまいました。
いまだ
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