数字で救う! 弱小国家
序章 願いの数式
序章 願いの数式(1)
「数学を愛してくれる人は、少ない……」
数学者のお
お
そんなお
数学とは科学であり、つまり技術なのだ。
目的さえ定まっているなら、数学という技術はそこにたどり着く道を、きちんと導いてくれる。〝数学を愛してもらう〟という明確な目標がそこにあるなら、そのための式を作ればいい。簡単なことだ。
あと、そんな
だから
「だったら
少し
「おお、数学のための数学、か……なかなか
「もちろんだよ。中学の教科書は
もちろん、楽なことではなかった。
当然だ。博士号を持つ祖父ですら
それを作り上げた時、
我ながら
「できたよ! この数式が答えだ!」
しかし──喜びの声を上げてくれるはずという
「これでも、数学は愛されないよ」
「なっ、そんな
この方程式をもとに曲線を描けば、そこに丸いおっぱいが現れる。なのに、なぜそれが愛されないだなんて!?
はたと気づけば、お
「きちんと理由があるんだ、ナオキ。反論された時に、お前は理由を問うべきだ。そんな風に
そう
「……な、なぜなんだ、お
うろたえる
「本物のほうがいい」
「っ──!! なん、て、ことだ……!」
反論の余地は一分も無い、
「くっ……!」
「数学を愛してもらうということはな、私のような数学者と、同じ気持ちになってもらうということだ。それは、私と同じ景色を感じ取って、美しいと思ってもらうこと。
──たくさんの人に愛されようとするよりも、まず、たったひとりでいい。同じ景色、同じ世界を分かち合いたいと心から願う数式を、導き出さないとならなかったんだ」
「同じ世界を、美しいと思ってもらう……」
「そうだ。……この数式が失敗作になった理由の本質が、わかったか?」
「……おっぱいはひとりでこっそり見るほうが
「そういうことだな」
「数式の完成度じゃない。アプローチがまず
スタート地点から
完全に失敗だ!
「ナオキ、お前はまだ若い。失敗することだって、当然ある。しかし、大事なのは
「お
必ず失敗する。その言葉が、ひどく耳に残った。
昼も夜もこれを作っていた。
その弱気を察したのか、お
「ナオキ、無理をしなくてもいい。お前には、他にもたくさんの道があるんだ」
「──こ、このくらいなんでもない! いつか絶対に、お
「
時間を味方につける戦略だった。
「ま、まあ
「わかった」
「これは失敗したかもしれない。だが──よく
数式を見せた時に期待していた
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