79 転生したら最強の魔眼使いだった。 中野 拓斗《たくと》様

 カードキャプターさくらの主題歌の一つ「プラチナ」を聴いたら、なんだか泣きそうになってきた。


 わたしのせかい


 夢と恋と不安でできてる


 夢と恋と不安しかない世界。世界はそんなものばかりではないことを知っているから、そのピュアさになんだか心打たれるのである。


 で、昔のアニソンを聴いていて泣いたんですよー


 とかうっかり上司に報告した。社会人には報連相が大事だからね。


「そうか。その気持ちはまったくわからないな」








 人と人は


 わかりあえない。


 魔法陣グルグルの「Wind Climbing~風にあそばれて」を聴くと確定で泣く体。遠藤です。





 転生したら最強の魔眼使いだった。 中野 拓斗たくと


 https://kakuyomu.jp/works/1177354054897455756


 最強だった魔剣士が、仲間だと思っていた一行に裏切られ、命を落とす。


 勇者に絶対復讐をしてやると怨嗟を込めた主人公の転生先は、


 最強の魔眼使いであるとともに、


 龍のような角の生えた幼女だった。





 パーティーを追放されるだったり、裏切られるだったりで、転生だけでなく復讐ものも今の主流なのかなーってグレープサイダーを飲みながら思った。


 復讐は何も生まないとか言うけれど、確かに生み出しはしないよね、別に何か作っているわけではないんだもん。


 劣等感とか嫉妬っていう感情はわかるけれど、復讐したいって感覚は、自分にはあまりわからないものだよ。


 そりゃあ馬鹿にされることもあったし、からかわれることもあった。修学旅行の時にあまり仲良くない女子の隣に、寝ぼけてて間違えて座ってしまった時は、すごい嫌な顔をされたけど(トラウマスイッチオン)。


 かといって、復讐したいとか貶めてやりたいっていう気持ちは、理解には及ぶけど実感はわかない。


 そう考えると、まあまあ幸せな人生を歩んでいるような気がする。


 復讐を題材にした物語をそもそもあまり読んだことはないけれど、結局は復讐なんてするよりも、今持っているものを大事にしなさいという示唆を込めた話になると思う。


 そうじゃないと、広義的には社会がしっちゃかめっちゃかになると思う。


 復讐を承認するような社会であれば、やったらやり返すで争いはどんどん激化していき、しまいには破滅か疲弊のみだろう。


 純粋に損得勘定で考えてしまえば、復讐をすることにあまり得はなさそう。


 万人の万人に対する闘争の状態に、陥りそう。ホッブス先生は法とか社会がない状態はそうなると言っているけれど。


 とはいえ、損得勘定で測れないものが、人間の感情だというのだから、やっぱり人っておもしろい。


 実験じゃないけれど、一回統計を取ったことがある。


 もしも友達と意見が食い違った場合は、自分の意見をどこまで譲れますか?


 そんな風に数十人に尋ねた時、パーセンテージで答えてもらった。


 なんとなく譲れそうな割合って、せいぜい50%くらいじゃないかな。意見のどちらが正しいとか間違っているとかは勘定を抜きにして。


 意見が食い違うっていうことは相手がいることで、友達という関係性である以上、ある程度は譲歩してもいいと感情が訴えかける。今後も続いていく関係だと仮定すれば、あまり揉めてこじれることは本意ではないと思うし。


 でも以外なことに、相手に意見をどのくらい譲れるかのパーセンテージで多かったのは40%くらいだった。つまり60%くらいの自分の意見を突き通すっていう人が多かった。


 性格的に争いごとを嫌う人は80%とか90%譲るって言った人もいたけれど、やっぱり少数派だった。


 ちなみに自分の意見をあまり譲らないと言った人に理由を聞いてみると


「自分の意見の方が正しいと思うから」


 とのことだった。


 仮定に仮定を重ねた話だし、信頼性には欠ける統計だけど、一つの意見として興味深く思ったのだった。


 思い出した「最後通牒ゲーム」っていうのも、人間が損得勘定ではなく、感情で生きていることを改めて思い知らされるゲームだ。


 たとえば100万円を片方の人間に渡して、「二人で話し合って分けていいよ」ってなる。


 ただし、金額に関してはAさんに決定権があり、BさんはAさんの提案を受け入れるか、受け入れずにお互いが金を受け取らないかを決めることができる。


 一番良心的で丸く収まるのは、お互いに50万円ずつ分けることだ。それならなんの懸念もなくお互いOKするだろう多分。


 でもAさんが「俺70万もらうけどBさんは30万ね?」と提案されて、自分がBさんだったらどうだろう。


 多分、ほとんどの人が「ふざけんな」って言って受け取りを拒否する可能性が高いと思う。


 合理的で損得勘定に則った選択をするなら、むかつくけど受け取るというのが正解。ただ単に30万もらえるんだから。


 でも、人間はそうしない。


 自分は損したような感じになる。


 相手の方が得したような感じになる。


 同じことの捉え方の違いだけれど、人間は損をする(それが嘘だとしても)のが大嫌いだ。


 それならば、相手を道連れに貰えないほうが、自分の感情には良いのだ。


 人が集まれば社会だし、国だし、色々なくくりで一包化されるけれど、それを構成しているのは一人一人の人間だ。


 一人一人の人間は、自分が損をすることが大嫌い。ということは、誰しも得をしようとしていると考えられる。


 けれども、誰かだけ得をすることも、大嫌い。それならばせめて、最低限自分と同じぐらいにまで落ちればいい。


 そう個人の性質を考えてしまうと、この世から復讐もなくならないよね。


 自分が不当に損をしているから、得をしてる人物を落としたいって、きっと思うのだろうから。


 そこまで考えて気づく。


 他人と比較することのむなしさを。


 比較するから格差が生まれる。格差は確かにあるのだけれども、格差があることを是認して、気にしない。


 そういう風に考えられたら、きっといい社会になるんでしょうね。












 なーんてことは、実は全然思わないんですけどね。


 復讐をしたいっていう気持ちを抱えたり、格差を感じてあがくことですら、嫉妬したり怨嗟をまき散らすことですら、それも別に好きにすればいいと思う。


 化物語シリーズの「愚物語」で老倉育は主人公の阿良々木暦の幼馴染だけど、幼い頃の出来事もあってすごい恨みを持っている。


 それはそれは恨みに苛まれて辛いだろうと思ったのだけれど、彼女はこんなセリフを言う。


「だから私が嫌いなのは阿良々木だけだ。

 私にとって、あの男をじょすることは、私のすべてを失うことである――阿良々木暦は、私のすべてなのだ。

 奪わないで」


 この物語に関しては、「それは絶対歪んだ恋心だろ」って思うのだが、これはとても面白い言葉だと思う。


 嫌いという気持ち、怨嗟の気持ち、みじめな気持ち、阿良々木暦に感じる気持ちすべては、私のものだって認めている。


 普通、良いものだけを持ちたいとか都合のいいことを思いがちだ。その点では、ある意味老倉の考え方は誰よりも不憫で、高尚だ。


 嫌悪感、怨嗟、嫉妬、怨恨、後悔、悲観、憐憫、無力感、劣等感、憂鬱、喪失感、憤怒、


 復讐心


 なくなって欲しいもの、持ちたくないもの。


 でもそんな感情なども含めて、それは人を象っている一部分なのだ。


 誰にも責任を押し付けられないし、どれだけ離れようとしても引っ付いてくるような負の感情だって、それとはもしかしたら一生付き合っていかなければいけないパートナーかもしれない。


 大事にしろってわけでなく、うまく付き合っていく。ないがしろにしない、それも自分自身だから。


 人生がうまくいかないかもしれないもの。そのうまくいかなさも、自分のもの。


 自分の持っているものだから、良い感じに肩を並べて時にお引き取りを願えたり、たまに向き合ったりして、死ぬまで生きて行けばいいんじゃないかと思う。





 約439万8千




 今回の感想文で、密かに抱えていた目標を達成した。


 それは
















 もとの小説よりも感想文を長く書くことだ!←くだらん。








(でも内容ほとんど触れられてないじゃん←だってまだ2話なんだモン)

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