9話 マリアローズ、働くってさ
子供の誕生日を祝うのは数え年で7歳になってから、それがソルフィア王国で古くから信じられている風習だ。
女の子の髪結いも数え年で7歳から、逆に男の子の散髪は数え年で7歳から、他にも鏡で自分の顔を見ていいのは数え年で4歳からと色々な風習がある。
ちなみに僕は一昨日、つまり新年早々に自分の顔を見た。
お母さんによく似た少女で瞳の色はルビーの様だった、ただ以前からお母さんと違って肌の色は色白なのは知っていた、けれど髪の色は同じだと思っていた、でもどうやら違ったみたいだ。
僕の髪の色は白かった、真っ白だった。
それと目元も似ていなかった、優しい印象のお母さんに対して僕の目元は釣り上がり気味で髪や肌の色も合わさって冷たい印象を与える顔立ちだった。
ここまで似ていないとは、と落ち込みはしたけど父親似なのかもしれないと納得して受け入れる事にした。
それとお母さんなんだけど、あのエロさは既に完成していると思っていた、が!実は未完成だった、年々エロさが増して行っている。正直、娘である僕から見ても見惚れてしまうくらいだ。
そして慣れるまで本当に大変だった、僕は体は女の子だけど心は男の子だ。
お母さんのあの艶やかな笑顔を見たら心臓がドキッとしてしまう、今は慣れたけどあれで成長途中だと思うと、僕自身の男としての心が来年のさらに成長したお母さんの艶やかな笑顔を乗り切れるか心配だ。
ただお母さんは中身がとても清純な人でもある、些細な小話のほんのちょっぴりの卑猥な話で顔を真っ赤にする程に純情で、エロい容姿に乙女の如き清らかな心を持っている。
そして何より優しくて温かい、だから僕は少しでもお母さんの助けになりたい。
幸いにして僕には前世の記憶がある、並みの3歳児は我儘を言って親を困らせるけど僕は精神年齢は15歳だ、我儘は言わないし自分の事はそれなりに自分で出来る。前世では家事全般を趣味にしていたからお店の開店前にする準備など手伝える。
なので今、女将さんに働かせて欲しいとお願いしている。
腕を組んで僕を見下ろす女将さん、亜麻色の髪と小麦色の肌の恰幅の良い女性で、The肝っ玉お母さんという感じの美人だ。
「へぇ、働きたいねぇ…小遣いでも欲しいのかい?」
「いえ、おこづかいはいりません。その代わりにお母さんのおきゅうきんに上乗せをして欲しいのです」
少しでもお母さんに楽をさせてあげたい、最近またお母さんの目の周りに隈が出来ていた。
年頃のお母さんがお洒落や美容に気を使えないのは子育てでお金が掛かる所為だ、お母さんには自分自身の為にお金を使って欲しい、だから少しでもお母さんの生活を楽をしてもらう為に僕も働くのだ。
バイトの経験はないけど家事には自信がある、父さんは家政婦さんを雇っていたけどその人は父に関する世話以外はしなかった、だから僕は年の割には家事能力の高い少年だった。体こそ3歳児だけど知識は15歳だ、料理は難しても掃除なら出来る。
「小遣いは…いらないか……分かった。なら部屋の移動もあるしね、三日後から働いて貰うよ」
「ありがとうございます」
よし許可が下りた、僕の掃除の腕前を披露してやるぞ!
「一応言っとくけどね、私らのメイド服は見た目倒しじゃないよ。全員が元本職のメイドだ、生半可な掃除は許さないから、そのつもりでいな」
うわーお!元本職、つまり掃除に関してはプロフェッショナルという事か、でも僕だって12年間も自分の事は自分でして来たんだ、決して劣っていないはずだ。掃除の事も色々と調べていたし、テレビで何度もお掃除特集を見て勉強していたんだ。
「はい!頑張ります!!」
「良い返事だ、まあ最初の仕事は部屋の移動さ、今まで自分が寝ていた部屋を綺麗に掃除するんだよ」
「はい!」
よしでは早速―――。
「まだ早いよ、三日後さね。忙しない子だね……」
早速、失敗をしてしまった。
落ち着こう、そう深呼吸だ。
三日後、最初の僕の仕事が決まった。
生前の僕が最後まで憧れても手に入らなかった物、愛情で優しく包み込んでくれるお母さんに少しでも恩返しがしたい。
その一歩を遂に僕は踏み出すのだ。
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