7話 この世界は・・・・・・
「じゃーあ、今日から私がぁ先生するからね」
「……はい」
「マリア貴女、私のこと全然信用してないのね」
仕事をサボる為に僕が寝ている部屋で煙草を吸っていた人をどうやって信用したらいいのか、聞きたいですね。
と僕は心の中で思いつつ、今日から先生を務める事になったシェリーさんを見る。
色っぽい喋り方をする怠け者というのが僕が抱いている彼女に対する印象である。
豊かな胸が特徴的で栗色の髪と茶色の瞳の美人、お母さんとは別の意味でエロい女性なんだけど、どうしても怠けて怒られている印象が強くて本当に先生が務まるのか疑念が尽きない。
「なら名誉挽回の為に、しっかりと教えてあ・げ・る」
「よろしくおねがいします」
深く頭を下げて椅子に座る。
僕は公私をキッチリと分ける主義だ、授業中に私語などしたことが無い。何時だって何事にも全力で取り組むのが僕のスタイルなのだ、なのでシェリーさんの妙な発言は基本的にスルーする事にした。
「貴女、母親に似て真面目ね……」
「ほんとうですか!」
「何でそこに食い付くの!?」
そうか、お母さんも僕と同じで真面目なんだ。似ている、とても嬉しい。
僕は顔だけじゃなくて性格もお母さん似なんだ。
「ま、まあ、やる気十分なら、今日は基礎中の基礎から始めるわね」
そうして始まった授業、最初はアルファベットに似たソルフィア文字の勉強から始まったのだけど早速、僕が「そるふぃあもじってなんですか?」という質問をしてしまい、文字の勉強から歴史の勉強に変わってしまった。
大まかなこの、自分が住んでいる国の説明とか、子供でも分かる様に簡単な説明だけだったけど意外と
「今日はソルフィア文字の勉強の予定だったのにぃ、歴史のお勉強……」
「とてもたのしかったです!」
さてシェリーさんから教えてもらった事をまとめると僕が住んでいる大陸の名前はレムリア大陸、そして住んでいる国はレムリア大陸を両断する長大にして広大な
アーカムは元々、大昔に作られた
戦争が終結すると中継基地の存在理由が無くなり一時は取り壊される予定だったけど、要塞に送る物資を作っていた労働者から今後も街として使いたいという要望が国に出された事で街となり、そして整備された街道に目を付けた領主により領都になった。
ソルフィア文字とソルフィア語いうのはソルフィア王国が建国された時に東西南北で言語も文字もバラバラだったことから統一言語・統一文字の政策で作られた物で5000年以上の歴史を持っている。
僕は外国語を基本的に何を聞いても英語?と思ってしまう日本人だったけど、覚えるのは思っていたより難しくはなさそうだった、一応は英検を持っていたし日常会話程度なら問題なく出来ていた。
とても今更な疑問、何で異世界の言葉が分かるの?というのは改めて考えると簡単に答えが分かった。
僕は授業で英語を習いつつ将来的にはドイツ語やフランス語も覚えようと思って図書館通いをしていた、だから何となく分かったのだ。
ただシェリーさんと話していて何度か齟齬があったから、完璧にソルフィア語を理解して聞き取れている訳ではなかった。
「それにしても、おおきい」
僕は貰ったレムリア大陸の地図を見ながら思った。
ソルフィア王国、聞いた限りだとその国力はアメリカやロシア並みだ。
長さの単位とか聞いた限りだとメートル法と同じ、重量やその他の単位も地球に類似している、国土面積は正確に測量されていなから大凡しか分かっていないけどロシアよりもずっと大きい、レムリア大陸も聞いた限りだと相当の広さだった。
魔法が存在する、それはつまり地球と同じ法則が通じないか通じるが他の法則もあるということ、地球だとそんな広さの大陸が複数存在していたら海が無くなる、この世界では海は十分な広さがあって未解明の海域も存在する。
剣と魔法のファンタジー、正直に言って甘く見ていた。
僕は地球と同じ規模の大陸と文明レベルが中世で、そこに魔法とか摩訶不思議な要素があるだけだと思っていた、けど違った物理の法則が根本から違う。
4つの力が根幹を成す地球とは違う別の大きな力が根幹を成す世界だ、そこには地球の常識は小さ過ぎる。
地図を見ながら僕は計り知れないこの世界に動揺を隠せずにいた。
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