第13話文化祭、同じ場所で
文化祭の日、一年前と同じように、良和はひとりで美術室にいた。例の4人が自分のクラスへ回る時間を見つけて、密かに地下階へ降りた。部員の作品が展示された部屋には保護者の姿すら見られなかった。
少し探すと、漫画のキャラクターの絵の並ぶ中に、一つだけ場違いのように風景画が飾られていた。暗めの木々の間に一本大きく道が配置されて、奥は森がずっと続いていた。隙間から漏れ出す光は朝日ということだろうか……。よく見ると、道の手前には足跡が描かれている。題名は「愛と光」であった。良和は、嗚呼中山、これがお前の世界だったのか、とため息をついた。どうしてお前は……。
しばらくたってから、良和は美術室を後にした。連絡塔の一階へ戻ると、日常たる生徒たちのふざけ合いと笑い声が良和を包み込んだ。一瞬違和感を覚えたものの、すぐに同じような態度に戻って歩き出し、良和は、元の世界に溶け込んでいった
非科学的反応 文野麗 @lei_fumi_zb8
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