第17話 修学旅行 その11 [誤った覚悟]

「いい度胸してるじゃねーの。銃口を向けられてびびらねーなんてよォーッ!」

喜太郎くんはタビーに銃を向けられている。なのに彼は全く怖がってない…? おねがいだからもうやめて!死んじゃうよ!


「[びびらねー]? それはちょっと違うね。」

喜太郎くんがタビーに向かって呟く。どういうこと…?

「僕は完全にビビってるさ。ライオンに睨まれているシマウマのように、今すぐにでも久美子ちゃんと逃げたいさ。」

「あぁ?何言ってるんだてめー。」

「ただ、。そうさ、時間が来たんだ。三分前でもなく三分後でもない。今が来たからなんだよ。」

「ゴニョゴニョ喋くってんじゃねぇ!殺すぞ!」

タビーの声がどんどん荒くなっていく。喜太郎くんは一体…?


「自己紹介させてもらおう。僕の名前は武気無 喜太郎。そして僕には。」

不治の病って、まさかッ!のこと?

さッ!今この瞬間に筋肉が増強するタイミングが来たんだッ!」

そう言い終わった途端、喜太郎くんはビルドアップし、全身の筋肉が大きくなったッ!そして膨張した筋肉に耐えきれない縄ははち切れたッ!

「「「なにィィィィッ!?」」」

三人は喜太郎くんにびっくりしてるみたいだ。私もびっくりしてる。

「何をしているタビーッ!撃てーッ!」

シイゴが叫ぶ。タビーは銃の引き金を引く。しかし、喜太郎くんの筋肉は弾丸を弾き返すッ!なんてかっこいいの!?こんな状況でも、喜太郎くんのかっこよさに惚れ惚れしちゃう…


「てめーッ… クソッ!こんなことで俺の計画が潰れてたまるかッ!この計画に人生をかけてきたんだ!だってしてたんだ!!てめーは殺すッ!」

クリュウは怒り狂ってナイフを喜太郎に刺す!でも、ナイフが折れる!喜太郎くんの筋肉、明らかに成長してる!!


でも…

『病名は[筋肉増強病]。年々筋肉が膨張して、最終的にはマッチョマンになってしまう病気だ。』

喜太郎くんはこんなことを言っていた… これは大丈夫なの…?


「クソッ!クソッ!!こんなことがッ!クソッ!」

クリュウは折れたナイフを持って怒っている… 折れたナイフとはいえ刃は残ってる…


「こうなったら…!!」

クリュウは人質の1人を捕まえて

「おい、てめー!!お前が次何かしたらこいつを刺す!!」

と人質の首にナイフを当てる。その人は女の人なのに…!! なんてことをしてるの…!!


喜太郎くんは落ちてる弾丸を拾った。

「おい、てめー!!動くな!」

クリュウが叫んでいる間に喜太郎くんは弾丸を投げた。弾丸はナイフの刃に命中し、残りの刃は砕け散った。すごい、喜太郎くん…!前に時計ちゃんとハンドボール投げ対決をしたときよりも強くなってるわ…!!


「て、てめー!!!」

残っていたシイゴは喜太郎くんを倒そうと走ってくる。

喜太郎くんはこっちを見て、

「行こう!久美子ちゃん!」

と微笑みながら言った。

「うん!!」

と返して私は立ち上がり、喜太郎に縄を切ってもらった。

私は喜太郎くんの隣に立ち、あの技を発動する準備をした。


「筋肉から始まり筋肉で終わるこの人生」


「プロテイン、生卵、生肉たちよ!私達に力を!」


ピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピクピク

「いくよ久美子ちゃん!」

「うん!」

[筋肉・ツームジカゼー・ボンバー!]

「うぐわああああああああああ!!!!」

圧倒的なつむじ風にシイゴは吹っ飛ばされた!私達の勝利!やったね!!犯行を阻止したんだ!



「どうしてこうなるんだ…!!どうして!!」

クリュウはぶつぶつ喋ってる。私達は人質さん達を解放していく。

「さっき貴方はと言ってましたね?」

喜太郎くんは不意にクリュウに話しかける。

「…」

「覚悟ってのは自分の感情を絶対に出さない決意をするってことなんですよ。何が起こっても、何を失っても、絶対に自分の感情を殺して予定通りの事柄を進めることが覚悟なんですよ。口に出すのは何よりも簡単。人々はそれらに気づいていない。だから覚悟を決めたと思い込む人が多いんですよ。」

「…くっ!」

「貴方は感情的に僕たちに怒鳴った。その時点で覚悟ができてないことを証明したんですよ。」

喜太郎くん…すごい…


そのあと、タビー、クリュウ、シイゴは逮捕されて、私達は残りの修学旅行を楽しんだ。







「あー、もう長崎とおさらばかぁ。」

最終日。ちょっと危ないけど特別な体験をした私たちは長崎にちょっと思い入れが出来た。

「しょうがないさ。僕たちは普通の高校生。普通の生活を過ごすのが一番さ!!」

「そうだよね! 学校生活張り切っちゃうぞ!」

やっぱり私の青春は愛と筋肉で溢れてるっ!


続く


参考 Wikipedia

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