第7話 修学旅行 その2 [勝負]

「ちょ、ちょっと待ってよ!」

私は思わず机を叩いて立ち上がった。立ち上がった時の風圧で椅子が、叩いた衝撃で机が大破した。

「私と喜太郎君も二人班がいいのよ!」

ハァ。ハァ。いきなり叫んだから少し息が切れた。吐息で数人吹っ飛ばされた。

「な、なによ!いきなり!もう決まったでしょ!」

負けじと彼女は言う。

「決まってないわよ!あんたらが勝手に言ってるだけじゃない!」

私はつい、怒ってしまった。喜太郎くんは焦ったような顔でこっちを見ている。私、やっちゃったかな…?

次の瞬間、喜太郎はニコッと笑って、

「久美子ちゃんの言う通りだ。僕たちだって二人班になりたい。」

私、ホッとしたよぉ。私のため息が強すぎたせいか、床の埃がぶわっと巻き上がった。

「な、なんなのよ!あんたたち!どうせイチャイチャしたいだけでしょ!?」

「それはあんたも同じだろ。」

喜太郎くんは堂々とした態度で言い返す。

「な、なら勝負よ!」

しょ、勝負?時計ちゃん、なに言ってるの…?

「勝負の内容はハンドボール投げッ!どっちが長く投げれるか勝負よッ!」

平和な勝負で助かったぁ…!

「分かったわ。やr「僕がやるよ。」

私が言い切る前に喜太郎くんが答えた。

「き、喜太郎くん!?」

「久美子ちゃんの大切な上腕二頭筋が肉離れしちゃ駄目だからね。」

「喜太郎くん…」

喜太郎くんの優しさは全筋肉1位かも…?


放課後、運動場に出て、二人は勝負の準備をした。

「さぁ、始めましょ。まずは私からね。」

と、言い切った瞬間、彼女はボールを投げた。ブオン!ボールが空を切る音だ。記録は…

「37m!」

誰かが叫んだ。

「ま、まあまあかしらね。」

時計ちゃんはすごいなぁ。

「喜太郎!次はあんたの番よッ」

グシャァッ!変な音が聞こえた。

「ごめんごめん、握力かあまりにも強すぎてボールを潰しちゃった。」

喜太郎くんの天然さに空気が少し和らいだ気がする。

「準備OK!さぁ、行くよ!」

喜太郎はボールを投げた。キンニクッ!ボールが空を切る音がした。瞬間、ボールは喜太郎くんの後頭部にぶつかっていた。

「喜太郎!あんたボールを後ろに投げてどうするのよ!ハッハッハ!」

私は絶望した。しかし、次の瞬間、

「待てッ!ボールをよく見てみろ!」

喜太郎くんの声に釣られてボールを見ると、ボールにはブラジルのお金が張り付いていた。

「つ、つまりボールが地球を1周したわけ?」

「その通り。」

驚く時計ちゃんに勝ち誇る喜太郎くん。私、ますます喜太郎くんと喜太郎くんの筋肉に惚れちゃった!

「これで、二人班は僕たちでいいかな?」

「くっ、いいわよ!好きにしなさいよ!」

やったああああああ!!喜太郎くんすっごい!もう、今から修学旅行が楽しみ!


続く


参考 Wikipedia

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