おまけ17 『死なない』と『死ねない』は紙一重のようで全然違うと実感した話
最近、『死ねない』大きな理由が一つ、出来ました。
今までは『死なない』理由をかき集めてなんとか生きてきました。
でも、『死ねない』理由というのは重いです。
この『死ねない』理由を失ったら、それこそ死んでもしまいたくなるぐらいに。
今までいろいろ自分のことを書き綴ってきましたが、私は多分、精神病者には珍しく、しがらみが多い人間です。
私の存命を望み、経済的に援助してくれる家族に恵まれ、恋人がいる時期もあり(まあ、歴代彼氏はダメンズばかりですが……そして、今現在はフリーで恋人はいませんが)よき親友がいて、数は少ない(?)もののこんなアップデートもしていない、ニートの子供部屋おばさんに付き合ってくれる友人も何人かいて。
だから死ななかった……のかなあと。
でも、いつでも「死にたい」という気持ちはうっすら私を取り巻き、手招きされている感覚がありました。希死念慮というやつです。
それを邪魔する、というか、ふわふわと彼岸へ飛んでいきそうになる風船のような私を地面に縛り付けるのが、人間関係というしがらみでした。
それでも私は存在しないほうが良いのではないか
……という気持ちはなかなか消えませんでした。
在るものがなくなれば、その衝撃は大きいけれど、それでもその不在にいつかは慣れるものです。
私がいなくなれば、私の大切な人たちは、私と言う重荷を手放せて、
私もこの無為な命を終わらすことができる。
ネガティブな思考に囚われて、そんなことを考える事は一度や二度ではありませんでした。
健康が欲しい
稼げる力が欲しい
生きる意味が欲しい
自由が欲しい
ないものねだりですが、そう思うのも止められませんでした(今もそう思います)
話は変わりますが……人間関係以上に、私の命をつなぎとめていたのは犬のマロンの存在でした
私が20代の頃に迎えた黒いトイプードル。
人間嫌いで犬嫌いで家族以外にはなつかない、だからこそ愛しかった。
入院した時も、マロンの写真を持っていきました。
手放せない、宝物でした。
私には子供がいませんが、子供がいたら、こんな気持ちになるのかなと
そんなふうに思う位、マロンは可愛くて、いとしくて、失うのが怖かった。
でも命に終わりがあります。
近況ノートにも書きましたが
マロンは去年亡くなりました。
生ききったと思います。17歳。人間で言ったら、100歳近い年齢です。
いつかいなくなる事はわかっていました。
でも、実際にマロンを失ってみると。
私は本当に生きる理由の大部分を失ったように感じました。
まるで体の一部が奪われたようでした。
それでも、マロンは母の、そして同時に家族みんなの犬でした。
母に一番なついていたし、主な散歩係は私でしたが、それでも私が入院しても、そして……たとえ万一私が死んだとしても、マロンは大丈夫だろう、と思わせるものを纏っていました。
話が長くなりましたが……
端的に言うと、新しい仔を迎えました。
保護犬譲渡会で出会った子で「すだち」と名付けました。
たくさんの保護犬の中から「すだち」を選んだのは、私です。
それを理解しているのか、それとも単に主に世話をしているのが私だからか、すだちはなつき過ぎるぐらいに私にべったりです。
数時間留守にしただけで、気が狂ったように寂しがります。
今は少し良くなりましたが、迎え入れてしばらくは、私が留守にしている間はずっと玄関のドアの前から動かない、という日々が続きました。
私がお風呂に入っていると浴室の摺りガラスの向こうに、ずっとちょこんと座っているすだちの影が見えます。
これでは、死ぬ、どころかおちおち入院すら(っていうか、旅行すら?)出来ません。
……必要とされることに飢えていて、そこに現れたのが「すだち」という存在だった。むしろ、それを自ら迎えに行ったのだから、死ねない理由を自分で作ったのだ、と言われればそれまでですが。
それでも「すだち」がいる限り、私は「死なない」いや、「死ねない」
と、思うと、同時に。
ただ、生きているだけでは駄目だ。病気の再発をできるだけ防がなければ。健康的な生活を送らなくては。
と、それまで生きる屍であってもいい、と投げやりに思っていた状態から気持ちのギアも切り替わりました。
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