おまけ7 三年前に自殺した、私の従兄弟への手紙

三年前、私の従兄弟である智也(もちろん仮名である)は自ら命を絶った。


どういう方法で自殺したかは、あえて書かない。

だが、苦しくない方法を徹底的に調べて、実行に移した形跡があったと伯父から聞いたので、苦しまずに逝くことが出来たのではないか、と。


私はそう、信じたい。


話は変わるが、私は、非公開のブログを一つ持っていて、そこにここでは書けないようなことや心の整理のための記事、あとはたまに出すことのない「手紙」を書いている。


手紙のあて先はそれぞれだ。

例えば表題にあるように亡くなった人へ宛てた手紙だったり、

別れてしまって他人より遠い存在になった元彼に対してだったり、

過去の自分への手紙であったり、

未来の自分への手紙であったり、する。

(毎年一年後の自分へ手紙を書いて、一年前の自分に返事を出すのが、10年以上、私の大晦日の恒例行事になっている)


今年はいろいろあって、大晦日に一年後の自分への手紙が書けそうにないので、久しぶりにブログを開いて、いろいろ見返していたら、三年前に自殺した従兄弟への手紙がひょこっと顔をあらわした。


この記事を読んでいるあなたが、もし自殺したいのなら、遺族(といっても、従兄弟だが)が、どんなことを思うのか。

知っておいて欲しいとも思うので非公開のブログに書いた記事をほんの少しだけ変えて、転載することにする。


ちなみに、この手紙を書いた時、私の精神状態は決して良いとは言えなかった。


『死』に誘惑されながら、それでもその誘惑を払いのけながら、生きているような状態だった。


でも、『希死念慮を抱いた人間』が『自殺を完遂した人間』に宛てて書いた手紙だからこそ、価値を持つのではないか、と私はそんなふうに思う。


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おととい、命を絶ったあなたへ

年末のこの時期に命を絶ったあなた。

絶対に年を越したくなかったのですね。終わらせたい、という強い意志を感じましたよ。


自殺する人は、自分の人生を選んだようで選んでいない……と、私は思います。

船で漕ぎい出すことを決めて海の真ん中で後悔してしまうような。

もうどこにも行けなくて、助けを待つ気など起きず、海に飛び込むことを決めてしまうような、そんな感じ。


私も最近ふとした瞬間に「死にたい」と漏らしていて、やばいなあ、と思います。

人生を楽しんでいない。


身体は元気なのに、元気でない心に引きずられている感じが、わかるのです。


毎日、起きるのも辛かったことでしょう。

好きでない場所(職場)に行くのも辛かったことでしょう。

気の合わない人(家族)と過ごすのも辛かったことでしょう。

理解者(友達など)も居ないか、会えない環境だったのかもしれない。もしそうだとしたら、それも辛かったことでしょう。


そこから能動的に逃げ出す気力も体力も、もうなかったのでしょう。


すごく共感する。少し羨ましいとも思う。

だけど、私は多分、貴方と同じ道は選ばない。

いい意味でも悪い意味でも憶病なんです。


なんでそんな袋小路を選ぶのか、と元気な人は言うのかもしれない。

だけれど、自分の気持ちが自分でよくわからずに元気な人の模倣しかできずに

ただただ、もがくしかない人間の気持ちを、元気だったりうまく人生を泳いでいる人たちに、わかってもらえるとは私には思えない。


どうしたらいいのでしょう。


正直、私にもわからない。


幸福になりたい、と思います。

自分の思うように生きていきたい、と思います。

そうできたらどんなに楽か、とも。


結局のところ、突き詰めるしかないのです。

耳を澄ますしかないのです。


蓋をしてもいいことはない。


大事にするしかないのです。

ネガティブさを。


「これは嫌だ」「今、自分は怒ってる」「我慢できない」

「行きたくない」「辛い」


そんな自分の暗い囁きを大事にすることは、甘えでもなんでもありません。


自分が自分を大事にしないなら、誰が大事にしてくれるというの。


自分に言い聞かす意味でも、そう思います。


【2017/12/31 某時某分】

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