俺たち「転生」しました!?

❶ 誰が腹上死だって!?ー宝井舜介君の事案。

 俺が目を醒ますと、まるでイギリスの古城の一室のようなアンティークでゴージャスな部屋にいた。

「おはようございます。『宝井舜介』君、ですね。」

豪華な金髪を長髪にした男が俺の枕元で見下ろしていた。


「ここは?」

恐る恐る俺は尋ねる。信じちゃいなかったが、「地獄の一丁目」だったらどうしよう、という恐れがあったからだ。


「『ティル・ナ・ノーグ』だ。」


 もう一人男がいる。金色の西洋鎧に深紅色クリムゾンのマントを纏った男だ。多少、俺と同じ「大和国」の血が入っているようだ。


「自己紹介が遅れました。私は宮廷魔導師マーリン。王国の最高顧問を兼ねております。

こちらにおわすのはキング・アーサー・ペンドラゴン1.0世陛下であらせられます。」


「あの?」

俺は尋ねた。

「俺はどっちかって言いますと、モンスターを狩る方のゲームを嗜んでおりまして、

ファンタジー系はちょっと……。」

 正直に言ってみた。ゲームの神さまの意地悪イケズ。転生先が違うじゃ無いの。


 そして、二人から今直面している危機について知らされる。残念ながらここはファンタジーの世界ではなく、宇宙船を基礎にして造られた宇宙コロニーであること。そして現在、生命維持機能が停止しており、オモイカネを中心にコントロールを立て直さねばならないことを。


 それには、この惑星スフィアを先住民から譲り受けた「キング・アーサー」こと元移民船イザナギ船長である鞍馬哲平を、俺たち10人の脳みそが「円卓の騎士」としてサポートしなければならない、と言うことだった。


「メンドくせえ。システム系のゲームはもっと苦手なんです。お断りします。」

俺は即答した。そんなこと知ったこっちゃない。聞けばもう俺は300年は眠っているんだそうな。これからも寝て暮らせるなら、それはそれでいいんじゃないでしょうか。


 「そうですか。ではあなたの死因をあなたのカプセルの前に掲示して置きますがよろしいですか?」

売り言葉に買い言葉のように、マーリンが尋ねた。まあ、俺は自分が死んだ状況も知ることができたし、それほど未練もなかった。


「別に。構いませんよ。」

俺はそう答えて、寝返りをうって二人から顔を背けた。


マーリンは杖で俺を指す。

「あなたの死因は『腹上死』です。」

「ちょ……、それは表現がおかしいですよね?」

マーリンの言葉に流石の俺も起き上がってしまった。少なくともパンツだけは履いたままだったのだから。


マーリンはしゃあしゃあと言い放つ。

「なぜです。片想いしていた初恋の幼馴染のたわわなおっぱいの谷間に顔を埋めながら絶命したじゃないですか? 腹上死以外の言葉が見つかりませんね。」

それが公式記録とかいったいどんだけ罰ゲームなんだ。

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