09

「もういいよ。降ろして」


 腕に抱くすずの声は聞こえていたが、理解には及んでいなかった。

 千樫はただ前を見つめたまま、愚直に足を動かし続ける。ただ一点、この場から離れなければならないという恐怖観念が、千樫の思考を占めていた。

 逃げなくては。早く、早く。すずを連れてどこか遠くへ――。


「降ろして、辰巳くんっ」


 名前を呼ばれ、我に返る。途端、機械的に動かし続けていた足に意思が戻り、もつれて前につんのめる。倒れると同時に、うっかりすずを放り出してしまった。

 すずはフロアのタイルをゴロゴロと転がり、うつぶせに倒れる。


「あっ、すまん……! 大丈っ――」


 すぐに体を起こそうとした千樫だったが、全身を走る激痛に顔をしかめる。


「あ……れ……?」


 痛いのは足か、腕か脇腹か。あるいはそのすべて。先ほどまでは根性とハイテンションで耐えられるレベルだったのに、今は動かすことさえ適わない。

 膝をついて四つん這いになった状態で、自分の手の平を見た。尋常ではないほど震えている。膝も、あごもガクガクと震え、自分の体ではないような感覚に陥った。


「ひどい顔色……。すぐに手当したほうがいい」


 頭上からくぐもった声が降り、顔を上げる。

 目の前にすずが立ち、ガスマスクをつけたまま千樫を見下ろしている。


「……俺は、全然平気だ。市ヶ谷さんこそ――」


「ケガしてるように見える? 無傷だよ。君のおかげ」


 言ってすずは両腕を広げた。眠気もすでにないようだ。

 けれどすずは、ガスマスクを外そうとはしなかった。

 瓦礫の崩れる音がして、千樫は後ろを振り返った。通りの向こうから、中国語の怒号が聞こえてくる。男たちが早くも復活し、隊列を立て直しているのだろう。

 千樫とすずは、通りから開けた広いスペースまで逃げていた。

 すずを狙うテロリストたちはすぐにでも追いついてくるだろう。千樫は体を起こそうとする。しかし一度緊張から解き放たれた体は、震えてばかりで言うことを聞かない。


「くそっ……! 何で。さっきは動いたのに……」


「あとは私が何とかするから、君はここを離れて」


「……え? できねえって。市ヶ谷さんを置いて逃げるなんて……」


「……優しいね、やっぱり。辰巳くんは」


 ぽつりとつぶやいたすずは、くるりと千樫に背を向ける。

 そして今一度「辰巳くん」と名を呼んだ。「今年の二月十四日、バレンタインデー」


「――あの日、あのとき。君は何をしていた?」


「え……何、いきなり」


「私は、月を壊していたよ」


「…………」


「小学校卒業式の前。能力を発現させた私は、ある研究所に連れて行かれたの。中学校時代なんて、私にはなかった。ずっと研究所にこもって、実験体になっていたから。それが国のためだから。国のみんなのためだからって言い聞かせられて、ずっと我慢してたの」


 でも――と続けてすずは大きく息を吸う。


「でも、家族との記憶を全部消されたって気づいたとき、もうイヤだって思った。このままじゃ、私が私じゃなくなっちゃうって思った。本当に私、怪物みたいに、化け物みたいに。異能兵器になっちゃうって思ったから。だから――」


 すずはぎゅっとスカートの裾を握った。


「だから、全力で抵抗してみました」


 それが月かじり事変を引き起こした。

 赤い女の言う通り。目の前に立つ小柄な少女こそ、月を一部破壊した張本人だった。


「黙っていて、ごめんね。驚いた……?」


「……まあ。すんなりは受け止めらんないけど……」


「……巻き込むつもりはなかったの。私はただ、みんなと同じように、学校へ通いたかった。当たり前の日常ってものに憧れてたんだ。バカだった。こんなことになるなんて」


 すずはそっと千樫を振り返る。

 学生服にガスマスクをつけたその姿は、たしかに異様だ。濁ったレンズに隠された表情は読めない。

 千樫は困惑して少女を見上げたまま。混乱していた。この少女は本当に、幼いころコロッケを食べてくれたあの子なのか――。


「……怖がらせてごめんね。私は異能兵器だよ。銃や爆弾なんかで、私を殺すことなんてできない。だからもう大丈夫。ここにいたら、君まで粉みじんになっちゃうよ」


「え、粉……? お、おう」


「離れたとこまで飛ばすね」とすずは千樫へ伸ばした腕を、払うようにして横薙ぎに振った。瞬間千樫の体はふわりと持ち上がり、すずの腕の動きをなぞるようにして宙を滑る。


「おおうっ……!?」


 尻餅をついたのは、パブリックスペースから数十メートル先のブティック前だ。爆発からは免れた領域らしく、ひとけがないだけで破壊された様子はない。

 遠く離れた向こうに、ガスマスクをつけた少女の姿を見る。少女は、じっとメインストリートの先を見据えている。

 相手は自動小銃を装備した男たちだ。天井の崩落程度では全滅とはいかないだろう。本当に勝てるのか? しかしガスマスクの少女に、怯えた様子はない。

 臆する必要がないくらいに、異能兵器は強いものなのか――?

 世界に終末をもたらす五人の子どもたち。その一人一人が、並外れた異能力を持っていると学んだ。ならばインデペンデンス・デイであるすずも――?


「はは……月かじるくらいだもんな……」


 まったく理解が及ばない。

 瞬間、フロアに銃声が響き渡り、千樫はハッとして顔を上げた。


   ×   ×   ×


住手ヂユウシユ!」

 紅の合図で、銃声が鳴りやむ。

 ガスマスクの少女はその場に立ったまま、一歩も動かない。

 発砲は威嚇射撃にすぎなかった。射出された銃弾は、すべて少女の足元で跳弾している。

それを知ってか知らずか、じっと立っているだけの少女の反応は、紅を不機嫌にさせた。


「……怖いわね。あたしとしては、キャアキャア泣き喚く姿が見たいのだけれど……この程度の装備じゃあ、あなたを震えさせることはできないってわけね?」


「シュウ……フシュウ……」


 少女は会話に応じようともしない。マスクで表情が見えないというのが不気味だ。

 任務は抹殺ではなく、あくまで奪取。

 あの異能兵器を奪うことができれば、紅の祖国􌍥􌍧中国は異能兵器二人を所有することになり、世界に並び立つもののない絶対的な国力を得ることになる。

 国家の悲願は命に替えても叶えなくてはならない。

 眠らせることには失敗したが、作戦はまだ終わっていない。次の一手がこのフロアに到着するまであと数分……時間を稼がなくてはならない。

 紅は世間話でもするかのように、朗らかに話しかける。


「手を挙げろ、とは言わないわあ。そのままでいいから聞いてちょうだい? あなた、あたしと一緒に来る気はないかしら。あたしたちにはどんな要求にも応える準備があるわ」


 その気になれば何もかもを手に入れられる異能兵器が、このような交渉に応じるとは思っていない。ただの時間稼ぎだ。会話に乗ってこい、と紅は念じる。


「日本での暮らしには満足してるのかしら。あたしたちなら、例えば今よりも優雅で贅沢な暮らしを用意することができる。言ってみて? 何かほしいものはない?」


「シュウ……シュウ……」


 少女は答えない。

 それでも紅は、顔に貼りつけた薄ら笑いを消さない。

 答えないならそれでもいい。その危険な能力を発揮しないままじっとしてくれれば、それで。長い髪で隠したイヤホンに報告が入る。

 ――小隊長。到着まで、約五分です。

 ――……五分。それくらいなら。

 そもそも、異能兵器相手に正面からやり合って勝てるはずがないのだ。

 しかしあと五分足止めさえすれば――あと五分で、中国の保有する異能兵器が到着する。

異能兵器には異能兵器を――上層部の立てた作戦を速やかに実行することこそ、紅たち実行部隊の任務だった。

 どうもたせるか――話を続けようとした紅は、少女が両手を返しているのに気づく。上に向けた手の平を、ゆっくりとじわじわ握っていくことに。

「……?」

 ぐ……ぐあっ――と紅の後方ですずに銃を向けていた男が、突然呻き声を上げた。それを皮切りに、男たちが次々と悶え始める。

 何だ、どうした? 部下に起きた異変に戸惑う紅。

 次の瞬間――バキッガキッ、ボキッ……! 男たちの腕の関節が一斉にあらぬ方向へ折れ曲がり、パブリックスペースに悲鳴が反響した。


「なっ……!?」


 ガスマスクの少女へと向き直る紅。

 少女は握ったこぶしを、力なく降ろした。ただそれだけの仕草に紅は身構える。間違いなく彼女の能力。今、少女は手を触れずして、一〇名以上の男たちを翻弄したのだ。

 ごくり、と紅はツバを飲み込んだ。間違ったかもしれない。いくら足止めするためとはいえ、異能兵器とは対峙するべきではなかったかも――。

 少女は反撃開始とばかりに腰を落とし、前屈みの姿勢を取った。

 床を蹴って跳び上がり、重力を無視して宙を滑空する。

 突っ込む先は腕の折れた痛みに喘ぎ、統率の乱れた男たちの集団。


「シュウ――フシュウッ……!」


 ガスマスクの接近に気づいたものが、恐怖におののき銃口を向けた。

 関節の外れた腕もそのままに、喚声を上げて引き金を引く。片腕では押さえの効かない小銃は反動で跳ね上がり、放たれた銃弾は天井やショーウィンドウを砕いた。

 少女が手を向けると、その銃口は勝手に仲間たちを狙う。

 ――ダダダダダダッ……!

 悲鳴と絶叫。罵声が銃声にかき消される。場は混乱を極めた。

 少女はスカートをひるがえし、黒タイツの足を上げて宙を跳ねる。頭上だと思えば足元に。後ろだと振り返れば、そのまた後ろに。銃口を向ければもういない。

 男たちは少女を捉えることができない。あるものは床にたたき伏せられ。あるものはエスカレーターから階下へと滑り落ちる。見えない力に引き寄せられ、衝突し合う二人もいた。

 恐怖は伝播ぱし、烏合うごうの衆と化した男たちは身を守るべく引き金を引き続ける。

 ――ダダダダダダダダダダダダッ……!

 落ち着けっ……と叫んだ紅の言葉も、銃声にかき消された。

 怒号を上げる紅は肩に流れ弾を受け、弾かれるように床に倒れる。

 ――めちゃくちゃじゃないのよ……クソがっ……!

 すぐに体を起こした紅は、脇を走り抜けようとした男の首を鷲摑みにし、彼の装備していた手榴弾を奪った。ピンを外して、ガスマスク少女の背後に放り投げる。


「もう重傷でも息があればいいわっ!! がんばって生き残ってちょうだいね……!?」


 振り返った少女は手をかざした。

 何かを握りしめるように五指を曲げる。

 空中で火を噴いた手榴弾はしかし――爆発しなかった。小さな爆炎を生み出したまま、爆発の途中で一時停止したかのように宙で静止している。


「はっ、え……!?」


 ――可能なの? 爆発を途中で抑えるなんて……!?


「この……化け物がっ……!!」


 罵る紅の顔がよほどおもしろかったのか、ガスマスクの向こうから、くぐもった笑い声が聞こえた。

 ――あはっ。

 少女が腕を横に薙ぐと、手榴弾はフロアの向こうへ飛んでいく。直後に大きな爆発が起きる。

 ――見誤った。五分どころか、一分ともたないじゃない。

 少女は片腕を大きく頭上へ振り上げる。すると少女の周りにいた、まだ倒れていない男たちの体が一斉に浮き上がり、その頭を天井へと突っ込ませた。

 それは異様な光景だった。

 炎に包まれたフロアを背景に、まるで首を吊つるかのように天井から体だけを出した男たち。意識をなくした男たちの手から次々と小銃が滑り落ち、タイルに落ちる。

 ――せめてこちらの異能兵器の到着を待つべきだった。

 インデペンデンス・デイ。その能力は単純極まりない。触れずにものを動かす。ただそれだけの力――念動力サイコキネシス。しかし単純ゆえに暴力的。少女に敵と認識された瞬間から、自分たちが絶命の危機にあったと知る。


「……ふっ……ふっ……。何なの、この子……」


 ――あはっ……!!

 紅の顔を見て少女は笑う。声高らかに。その力を誇るように。

 ――あははっ。あははははははっ……!!

 一歩、少女が足を踏み出して、紅は後退りする。足を踏ん張り、歯を食いしばる。


「こっ、これは警告よ!! 近寄らないことね。これ以上近寄るなら爆破するわっ……!!」


 取り出したのはスマートフォンである。

 いつでも指を触れられる状態で、液晶画面を少女に向ける。


「このビルには……まだ起動させていない爆弾がいくつも残ってるのよ? あたしはそれをボタン一つで起動させることができるわ。あなたがこれ以上近づけば、あなたやあたしや、階下で救助活動してる人々ごと――て、ぬぅはっ……! そん……なっ……」


 手榴弾の爆発を抑えたときのように、少女は何かを握りしめるように五指を曲げた。

 それに合わせて紅が、自身の持つスマホを握り潰す。

 ひしゃげたスマホを握ったまま、その右手はさらに強く、強く指をたたみ込む。自分の意思とは関係なく、手はスマホごとゆっくりと潰れていく。


「つっ……! や、待っ……待って……!!」


 顔を赤くし、青筋を立てる紅。

 その顔をぼうっと見ながら、ガスマスクの少女は初めて口を利いた。


「……望みは? って訊いたよね。ぼくのために、何でも用意してくれるって」


「するっ……! するわ。何がっほしいのかしら……!」


「ぼくがほしいものは、あなたがたった今壊してしまった」


「っ……!」


 少女はもう片方の腕を前に伸ばす。

 すると紅の体が浮き上がり、つま先がタイルから離れる。


「化け物だって、夢を見るんだ。みんなと同じように学校に行って、みんなと勉強して。放課後はだらだらおしゃべりしたり、みんなで遊びに行ったりするの。青春して。それから……あわよくば恋とか、できたらなあって」


 少女は前に伸ばした手を、コップのふちをなぞるようにゆっくり、ゆっくりと動かした。

その動きに合わせ、空中に静止した紅の体がゆっくり、ゆっくりとねじれていく。

「なのに……あなたたちが、こんな悲惨な展開にしたんだ。どうして放っといてくれないの? どうして、どうして? どうして大人たちは、ぼくの邪魔をする――?」


「ご、ごめんなさいっ! 許してちょうだい……!!」


 ギリギリギリ……。全身をねじられながら、紅は命乞いをする。


「命令だったの! 国に家族を人質に取られてて……! お願い、国に帰してっ……!」


「……家族? 何それおいしいの?」


 ガスマスクの少女は小首をかしげた。


「知らないよ。たくさんたくさん、後悔して死ね」


 ギリギリギリ……。いよいよ紅の息が詰まる――そのときだった。

 パブリックスペースに、軽快な音楽が流れる。

 跳ねたリズムが楽しいテクノポップ。そして、どこかで打ちつける水の音。

 顔を上げた少女は、腕を降ろした。同時に紅の体がタイルに落ちる。

 何だろう、この音楽。少女は音の出所を探して振り返る。

 銃弾で割れたガラスの欄干。吹き抜け構造となっている三階から、地下一階を見下ろすことができた。

 そこは巨大スクリーンの設置された、大きな広場だった。幾何学模様を映したスクリーンの前には噴水があって、移り変わる映像や音楽とリンクして水が激しく吹き上がる。

 少女は欄干の壊れたへりに立ち、ライトアップされた噴水を見下ろす。ガスマスクのレンズに、躍動する水の輝きがキラキラと映り込んでいた。

 天井の高い吹き抜け構造を利用した、迫力のあるパフォーマンス。

 ――ぼくはたぶん。この音楽を、この光景を、覚えている。

 それは一体いつのことだったか。少女はじっと記憶を探る――。



 一方千樫は、血を流しすぎて動けずにいた。

 ここを離れるよう言われはしたが、立ち上がることさえ難しい。撃たれた腕や足の感覚はとうに消えてしまい、かろうじて動かせる部分もガクガクと震えて力が入らない。

 だからフロアのタイルに横たわったまま、少女が敵を蹴散らすのをぼうっと眺めていた。

 なるほどあれが異能兵器。〝ガスマスクすず〞は重力さえ無視して暴れ回り、銃を持つ男たちを翻弄していく。その凄まじさは想像以上だった。容赦なく男たちを叩き潰していく姿には、狂気すら感じられた。

 正直に恐怖を覚える。あれが市ヶ谷すず……? と不安になるほどに。

 自分は彼女の言った通り、ここにいては邪魔になるだけだ。粉みじんになる前に……と。

転がってでも離れないと――と思っていたはずなのに。


「……ああ。けど、ダメだ」


 なぜか。行ってやんなきゃという気になった。自分が行ったところで何ができる? 粉みじんにでもなりに行くのか? 自問してやめようとしたが、それでも。

 理由は自分でもわからない。けれど行かなきゃ、という想いに体を突き動かされる。

 もう少し、もう少し……とイモムシのように這い進んでいる最中、少女が噴水のパフォーマンスに気を取られ、吹き抜けのへりから下をのぞき込んだ。

 千樫が注視したのはその背後だ。タイルに倒れた赤い髪の女が、もぞもぞと動いている。

倒れたまま、少女の背に向けられたのは拳銃だった。

 危ないっ、市ヶ谷さん後ろだ――! ……え!? 声出てねえ!?

 叫んだはずの千樫は、自分の声が出ていないことに驚愕する。

 体も動かない。声も出ない。すずが目の前で撃たれようとしているこんなときに――。

 何もできない――!? 勘違いだろ……!?

 千樫は、額をタイルに思いっきりぶつけた。

 あの人のピンチだ、何もできないわけがない。ほんのり生まれた弱気をかき消して、普通動けないだろという常識をねじ伏せて、ムリやり足を踏み出し体を起こした。

 今だ。今、今、今動けなきゃ、生きている価値がない。


「すんぬうぅぅぅぅう……――」


 痛みは無視。寒さも無視。ガクガクうるさい足の震えも無視だ。前に倒れそうになったタイミングで足を踏み出す。あとはそれの繰り返しで走る。

 すずの背に向かって、ただひたすら走る――。


 ――ダァンッ……!

 パブリックスペースに銃声が響き渡ったのは、その直後だった。

 振り返って驚くガスマスクの少女。

「え……?」

「くぅんっ……!!」

 千樫は腰に焼けるような痛みを感じた。

 また撃たれたが、まあいいやと思った。盾となることでこの人が無事であれば――。

 と、思ったのも束の間、銃弾で弾かれ勢いづいた体は、小柄な少女に覆いかぶさるようにして突っ込んだ。もはや体のコントロールが効かない。


「あっ、ごめっ――」


 気づけば二人とも、吹き抜けのへりから空中へ飛び出していた。

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