第3話

少し待ってみたが、やはり彼は下を向いたままで動かなかった。


思わず声をかけようとした時、彼が顔を上げた。


「うーーん、今回は駄目かもね」


そう言うと彼は立ち上がり「失礼します」と言ってすたすたと小屋を出て行ってしまった。


俺は慌てて後を追った。


去り際にいとこを見たが、その顔からはなんの感情も読み取ることが出来なかった。


「おい、どうした?」


前を行く占い師に声をかけたが、何も返ってはこなかった。


二人で車に乗り込み、車が動き出すとようやく彼が口を開いた。


「いましたよ」


「えっ?」


「男の子ですよ」


「どこに?」


彼は少し間を置いた後、答えた。


「父親と母親と姉の、お腹の中です」


「……お腹の中ぁ?」


「ええ、もうとっくに消化されていますけどね。その前にはいましたね、三人のお腹の中に。間違いなく」


「……」


彼は顎をぼりぼりとかくと言った。


「よっぽど腹がへっていたんでしょうね」


と。



      終

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あの子はどこに? ツヨシ @kunkunkonkon

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