7話〜襲撃
ドラゴン、それはヨーロッパの神話などで現れる翼と爪を持ち火を吐くと言われているトカゲのような生き物。
それが今目の前で飛んでいる。
大地達の目の前にはそのドラゴンには首輪のようなものがかけられており、ドラゴンはこちらを見下ろしながら悠然と飛んでいた。
大地達はただ呆然とし立ち尽くすことしか出来なかった。
ドラゴンの後ろから人の姿が現れた。
赤のローブを着ているが、そのローブはパンパンに膨れ、髪は金髪、青い目が雪を見下ろして、低い鼻は鼻を膨らませている、厚い唇は広角を上げ薄気味悪い笑顔をしている。
「攻めきれないからって援軍を要請してきて、この私自ら面倒臭い奴隷狩り参加しないといけないと思ってはいたが、まだこんな上物があるとはな!こいつは夜が楽しみだ!」
男は下世話な笑い声を出す。
「赤のローブ!?もしかしてあいつはフランマなのか!?」
フランマの特徴を思い出した光輝は疑問を口に出す。
「ほぉ?よく私がフランマと分かったな!そう私こそフランマ第5師団団長アーノルド・スタンリー子爵だ!私が来たからにはお前達は全員奴隷となり、我がイグニス帝国の労働力、奴隷として働かせてやろうと思っていたが、そこのお前は私の奴隷としてこき使ってやる!」
アーノルドはいやらしい笑顔をし、雪に指を指しながら宣言する。
「‥‥‥大地」
雪は弱々しい声を出し、震える腕で大地の服の袖を掴んでいる。
「安心しろ。俺がお前を守る」
大地は雪に向かって告げる。
「何だ?小僧、私に逆らおうというのか?笑止!魔法も使えない小童がイグニス帝国に所属している我らに勝てるわけなかろう?今、降伏するならで怪我の心配はしないでいいぞ?大事な労働力なのだからな」
「その魔法?っていうのはよく分からないが、雪は俺が守ってやる!」
大地は叫びながら、雪の白い手を掴む。
「いいだろう!いかに魔法がどれだけ強力なのか見せてやろう!私の魔法で貴様らに絶望をみせてやろう!そうだな、貴様達ぐらいなら此奴らで大丈夫だろう。彼方より顕現せよ、ゲート!」
アーノルドはふくよかな体を揺らしながら叫ぶ。
すると学校の周りに複数の穴のようなものが現れる。
そこから多数の獣のような叫び声が聞こえてくる。
穴の中から多数のゴブリン、コボルト下級の魔物が現れるだけではなく、アーノルドの乗っているドラゴンより一回り小さいドラゴンに乗っている赤のローブを着ているアーノルドの部下と思われし、10人ほどの集団が姿を現れ、学校の周りを包囲し、大地達を逃げられないようにしている。
「ワッハッハ!驚いたか!?これが魔法、召喚魔法だ!私の魔力を使い部下、配下を呼び出すことができるのだ!これで貴様達の逃げ場はなくなった!さぁ、さっさと命乞いをするのだ!」
アーノルドは高らかに笑う。
「君達!無事か!?」
後方の校舎の中から声が聞こえ、少数の足音が聞こえてきた。その人達はヘルメットを被り、小銃を携えて、迷彩服を着ていた。
そして大地達の前にでる。
「赤のローブ!?情報にあった我ら自衛隊を壊滅に追い込んだフランマの集団か!?クソ!何故こんなところに!?君達は後ろに下がりなさい!」
自衛隊の小隊に告げられ大地達は後ろに下がる。
そして自衛隊はアーノルドに警告した。
「これ以上の進行は侵略行為に値する!これ以上進むというならこちらも攻撃させてもらう!」
自衛隊は世界で唯一、交戦権を放棄し、武力による威嚇も放棄している。
それが自衛隊の専守防衛と言う理念である。
なので自衛隊は先に攻撃することが許されない。
「侵略行為?ワッハッハ!貴様達は馬鹿なのか?我々イグニス帝国はもう貴様達の国を侵略、壊滅したのだ!この土地はもう我らイグニス帝国のものであり、貴様達の言っている侵略行為はもう存在しないのだよ、もはやこれは我が国にいる奴隷を捕まえるための奴隷狩りなのだよ!さぁ、お前達、狩りの始まりだ!」
アーノルドが指を鳴らす。
すると学校を包囲していた魔物、ドラゴンもどきに乗っている手段がこちらを捕まえようと一斉に動き出した。
自衛隊も動き出す。
小銃を構えて魔物、ドラゴンに射撃を開始する。
ドラゴンは翼に穴が開き空から地に落下していく。
魔物の眉間には銃弾が入り、地面に入り込み、動かなくなる。
「ほぉ?魔法も使ってないのに、矢をよりも早く、矢をより遠く、連射もする、そして威力も高い!素晴らしい!その技術は我がイグニス帝国に相応しい!これがあれば魔法も使えない奴隷どもに持たせることで我が軍はさらに強く、最強になるだろう!」
アーノルドは配下が倒れていっているのにもかかわらず、自身の妄想を広げていた。
「クソ!数が多すぎる!弾も残り少ない!このままだと押し込まれる!どうするんだ!?隊長!?」
敵を倒しても、倒しても続々と現れ、押し込んでいく状態に自衛隊の一人が発砲しながら隊長に吠える。
「君達!ここはもうじき持たなくなる!君達、私達が道を切り開き、脱出する!だから急いで人を集めてきてくれ!」
隊長は大地達に頼みこむ。
「はい!僕たちに任せください!大地、雪ちゃん!別れて一般の人を集めよう!」
光輝はすぐに反応し、大地と雪に指示を出す。
光輝は指示を出すとすぐに避難民を集めに行く。
「雪、俺たちも行くぞ!早くしないとみんな捕まってしまう」
「‥‥‥ん!」
大地と雪も二手に分かれて動き出した。
大地は校舎の中に入っていく。
やっぱ身体が怠いな。
大地は怪我をしているにもかかわらず痛みを堪え、校舎の廊下を走る。
廊下を抜けると体育館が建っている。体育館の中に入ると、中には外の騒動で怯えている人々がいた。
「皆さん、敵の襲撃です!もうここはもちません!自衛隊の人達が脱出への道を作ってくれます。なので直ちに脱出の用意をして、グラウンドに集合してください!」
大地は手早く要点だけを伝える。人々はそれを聞いて慌てふためく。
「落ち着いてください!冷静に避難してください!そこの人、前の人を押さないでください!」
脱出の準備をしている人達に注意をしながら、体育館の外へ、そして廊下を渡る。
校舎の中から悲鳴が聞こえてくる。
子供の声と大地がいつも聞いている声だった。
「皆さんは、グラウンドに向かってください!」
大地は返事を聞かずに悲鳴が聞こえてきた方向に走り出す。
廊下を走っていくと、一つの教室の中の様子に視界の端に映る。大地は急停止し、そこの教室に入り込んだ。
そこにはゴブリン、コバルトが多数いる中で3人の女の子を守っている、怪我をしている雪の姿がそこにはあった。
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