6話〜外の様子

雪、光輝に連れていかれて外の様子を見にきた大地は目を見開くことになる。


いったい何があったんだよ!?


外の世界は一週間前とは大きく異なっていた。


大地の見慣れた風景があった街は大きく姿を変えていた。


道の横に生えている木々は伐採されたり、燃やされ黒ずみになっていたり、建物は壊され壁に大きな穴が開いていたり、火事により全焼し骨組みだけが残っている建物もあった。


避難所とされている小学校もところどころ傷ができていたり、補修されている跡があった。


小学校に避難をしている人達は壁に沿って眠っている人、何もすることなくただぼーっと座っている人、三角座りをし顔を伏せてすすり泣いている人、皆疲れ切っている様子であった。


「本当にこの国は攻撃を受けているんだな。一週間で街がこんなボロボロになっちまうなんて」


「……この街は日本の四つある穴の出現地の一つ、だから襲撃も多い。他の街はまだ襲撃も少なくて被害も少ないと思う」


「この避難所は穴と比較的距離があるから襲ってくる敵は、ゴブリン、コボルトとか魔物のレベルが低いんだ!」


「さっきから思っていたんだが、ゴブリンとかコボルトとか本とかアニメのやつなのか?」


「あぁ!尋問した兵士からの情報からすると、穴の向こうの世界はファンタジー小説にでてくるような伝説上の生物達がいるそうなんだ!」光輝は答える。


「そのゴブリンとかは強かったりするのか?」


「そうだね、強さを例えるとゴブリンは小学生四年生と喧嘩してギリギリ小学生が勝つぐらいかな。コボルトは中学一年生相手にコボルトがギリギリ勝つぐらいといったところかな。」


「また、分かりにくい例えだな。でも小中学生ぐらいの相手なら自衛隊がいなくても避難している人達で対処できるんじゃないのか?」


「いや、奴らの怖さは強さじゃな!本当の怖さは数だ!あいつらは繁殖力が以上に高いんだ!イグニス帝国の連中はそれを利用して数でこちらを攻めてくるんだ。最初は自衛隊が防衛できていたんだが、数が多すぎて、物資がなくなっていったんだ。最近では対処しきれずに、小学校に侵入された魔物に子供が攫われたりしているんだ。」


光輝の顔は暗くなっていく。


「なら、避難所から早く逃げたほうがいいんじゃないか?」


「うん。もう避難所が危険だと判断して出ていった人たちもいる。少数の移動なら敵に見つからずにこの街の外に出られるかもしれない。でも大人数での移動になると敵との遭遇の可能性も高い、しかも女性、、子供、老人たちを守りながら。だから自衛隊が今脱出作戦を立てているんだ!自衛隊以外にも動ける大人達もこの作戦に参加するらしい。僕も作戦に参加させてもらう予定なんだ!大地、君はどうする?」


「そうだな。俺は怪我であまり動けないから参加はしない。でも危険になった時は周りの人達を精一杯守れるように動かせてもらう」


「分かった!こっちも危険にならないようにしっかり動かしてもらうよ!」


光輝は笑顔で大地と力を込めながら握手をする。雪はそんな二人を見つめる。


そんな時、太陽の日光が照らし続けられていた学校に影が差す。


避難所にいた人々は空を見上げる。


視線の先にはトラックより大きく、深紅の鱗、何でも切り裂きそうな爪、こちらを見下ろしている深紅の眼、それを見た人達はこう言った。ドラゴンと。

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