呪われている?
クレイドール107号
第1話
私は幼い頃母の親戚の家に行くのがとても怖かった。
その家は京都の太子道(たいしみち)という太秦天神川方向へと繋がる細い通りに今でもある古い京町家なのだが家の中はいつも暗く、雰囲気の重いとても怖い家だった。
母の実家でもあるその家には叔父と叔母夫婦が暮らしていたのだが、赴く度に何しに来たと、2人はまるで般若のような顔で私と母を出迎えた。
ある時、激昂した母が叔母に包丁で振り回しながら追いかけ回した事があった。
幼い私はお願いだからやめてと、ひたすら懇願しながら泣きじゃくっていた。
その頃一度こんな夢を見た。
その家の玄関引き戸を開けると、三畳ばかりの土間があり、その中央に乳母車が置いてあった。中には赤ん坊が起きていた。しかしその赤ん坊の首から上が無かった。首は既に切断されており、首の無い身体の切断面から血の泡がブクブクと吹き出していた。私はその赤ん坊を何故か自分の父親だと思った。
幼い頃に見た、たった一度のこの夢が今でも強烈に脳裏に焼き付いている。
後年、その土地は西ノ土手刑場という跡地に親戚の家が建てられていたと分かった。昭和の頃ビルの建設工事の折、沢山の人骨が出没したという。その人骨たちは見事に首と胴体に分かれていた。
その親戚の家のすぐ近くに天神川が流れており、川に架かった橋の名が当時の地元の人たちからは通称地獄橋と呼ばれていた、という話を知った私は、なんとなく腑に落ちた感じがした。
呪われている? クレイドール107号 @cureidoru107
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