ポーカーフェイス
春風月葉
ポーカーフェイス
彼女の顔は、精巧な西洋人形のように美しいのに、時が止まってしまったかのようにピクリとも表情が変化しない。
笑えばきっと可愛らしいのに、もったいない。
彼女の無表情は大して役に立たない。
トランプで遊んだときは傑作だった。
ババ抜きならポーカーフェイスが役に立つだろうと思ったのに、ババを引く度に頭を抱えてしまうから、わかりやすくてゲームにならなかった。
彼女の無表情は割と不便だ。
理解されにくいし、誤解されやすい。
能面なんていうあだ名でイジメを受けていたこともあったそうだ。
彼女の変わらない表情が私を慰めてくれたことが何度もある。
辛いとき、苦しいとき、どんなときでも、彼女は変わらない顔で私の話を聞いてくれる。
喧嘩した時も、告白した時も、遊んだ時も、そして別れた時も、その顔は変わらなかった。
彼女はあの時どんな気持ちだったのだろう。
私と同じ気持ちでいてくれていたら、どんなに嬉しいか。
そうして私も、たくさんの感情を分厚い顔の裏に隠した。
ポーカーフェイス 春風月葉 @HarukazeTsukiha
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます