その約束は永遠の…
春風月葉
その約束は永遠の…
一人の女がいた。
彼女は大事な彼と交わした再会の約束を楽しみにしていた。
その約束は彼女がまだ幼かった頃に交わしたもので、もう約束から四年が過ぎていたが、彼女は彼を待つその月日さえも再会を喜ぶための時間だと信じていた。
彼女は待ち続けるが、彼は姿を現さない。
月日はそれからも流れ続け、九年が経った。
それでも彼は現れない。
そのうち、彼女の中の約束は楽しみから悲しみへと変わっていってしまった。
それでも時はその歩みを止めてはくれず、彼女の約束は通り過ぎる月日の中に取り残された。
彼女の手は皺だらけになり、髪は色を失っていたが、約束の記憶だけは消えてくれないままでいた。
結局、彼女は再会を果たせぬまま世を去った。
彼女の死から一年後の五月、一人の老紳士が彼女の墓を訪れた。
彼は白いエンドウの花を添えるとその場を去った。
ふわりと風は、彼の頰を撫でていった。
その約束は永遠の… 春風月葉 @HarukazeTsukiha
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