642年
思えば私が生まれてから642年の間、苦労の連続であった。親からは兄弟みな真っすぐ生きてほしいと願われたが障害にぶつかりそれっきりの兄弟たちもいた。私だって少なからず大きな障害が近くに現れると、そちらへと僅かに偏ってしまったことも何度もある。しかしまあ、ありがたいことにこうして642年おおよそ真っすぐに生きてこれた。そういえばいとこの中には私のような弱さを持たない非常にたくましい方々もいた気がする。彼らは障壁をものともせず、スッとすり抜けるが如く避けていた。彼らは私たち兄弟よりもエネルギッシュでほんとうらやましい限りだ。さて私の642年間は紆余曲折あったが、そろそろ使命を完遂できるみたいでなにより。ようやくあなたのもとへ行ける。642年前の一瞬をお届けします。私の母なるホシの煌びやかなる最後を。
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