第2話-露天蒸気機関車「夢」

 気が付けば、和室でお茶を啜っていました。

 座布団を尻に、正座をしていたのです。

「ここは……」

 辺りを見回しても、窓のない壁があるのみです。ですが、僕の目に飛び込んだのは、変わったモノでした。

「扉?」

 前後にドアがあったのです。それと、同時に汽笛が鳴りました。

 それで悟ったのです。

「蒸気機関車……」

 道理でさっきから地面が揺れている気がしたわけです。

 零れないように湯呑を持ちます。ですが、別段と揺れるわけでもなのです。

 場所は鉄橋に差し掛かりました。

 まず、天井が開きます。次に横壁が分離パージします。例えるなら、トラック二ステージが付いている感じの、もしくはトラックのドアが横についている感じの分離の仕方を思い描いてみると、わかりやすいです。擬音を使うなら、「ウィーーン」です。そうして、壁は川底にボトンッと音を立てて沈みました。

「……は?」

 目の前には青空が映し出され、風が体に吹き付けます。

 と、次の瞬間。僕は車体の下にいました。

 イメージは雲梯にぶら下がる感じで車体に掴まっています。

「ちょっ⁉」

 訳が分かるはずもなく、蒸気機関車はそのまま進みます。

 そして、目の前に見えるのは鉄橋のです。プラレールにそんなパーツがあったなー」なんて思ったりもしましたが、そんな余裕はありません。

「ぶつかるっ‼」

 と思ったところで目が覚めました。現実では、足を床に思いっ切りぶつけました。


 ――以上。いつかの夢でした。

 これと同じ夢を二回見ました。中学生の頃に二回です。

 なんか、嫌なことでもあったのでしょうか?

 まあ、三度目がないことを祈ります。

 ビクッとなって起きるのは、焦りますしね……

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