第1話-昨日の夢です

 目が覚めると、見知らぬ倉庫にいました。

 決して薄暗いわけでもない。極めて開放的な倉庫でした。例えるなら、漁港にある倉庫のようなものです。

 そんな倉庫で行われていたのは、麻薬取引でした。

 僕はそこに警察官として潜入していました。友人のT君も一緒に潜入捜査に加わっていました。

「兄ちゃんも、モノ好きだねぇ~」

 そう言って、隅に座っていた男が麻薬の入った白い袋を僕に渡しました。

「……」

 僕は黙って受け取ります。

 倉庫を出てすぐ、僕は仲間に連絡しました。

「やっぱり、クロだった」

 携帯電話ではなく、無線機でした。割と近くにいたのかもしれません。

 ですが、仲間の顔を見ることなく、僕は目を覚ましてしまうこととなります。

「何をしているっ!」

 連絡に気を取られていたのか、密売人に見つかってしまいました。

 その手には拳銃が握られ、銃口はこちらを向きます。

 その声がきっかけで、どこからともなく黒塗りの高級車が入ってきました。

 数台程が列をなし、倉庫の脇で止まりました。

 車の中からは数人が出てきて、僕を囲みます。

「警察か⁈」

 バレる様子がなかったのに、どこでバレたのでしょう。

 其処へ颯爽と現れたT君。

 拳銃を敵さんに向けます。

「ぐっわぁ」

 変な声を上げ、即退場。敵さんは跡形も残りません。

「次はお前だ!」

 そう言って、銃口が僕に向けられた時、目が覚めました。



 ――以上が今日の夢でした。

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