『悪夢のエレベーター』 畳み掛けてくる「どうしてこうなった⁉」

 エレベーターに閉じ込められた、不運な男の末路。


 妻が出産するので、男は愛人との関係を清算しにいった。

 しかし、帰り道のエレベーター内で失神。

 エレベーターも止まってしまった。


 同席していたのは、出所したばかりの元空き巣ヤクザ、人の心が読める超能力者、姉の交際相手が勤めるボランティア施設を燃やしたヤンデレ少女。


 携帯の充電もない。助けも来ない。妻は臨月。住人も気づいていない。

 絶体絶命の状況だ。


 このまま餓死するくらいなら、遺書を残そうとなった男は、ヤンデレ少女の持つボイスレコーダーに遺言を吹き込む。


 しかし、とある物音がした途端、状況は急変する。

 


 原作は『サンブンノイチ』などの木下半太。

 監督は俳優の堀部圭亮。


 始まり方からして、異様な本作。

 最初の語り手は内野聖陽なのだが、斎藤工に主役が変わっている。


 この段階で、ミスディレクションは始まっていたのだ。

 

 ことの真相がわかると、やはり内野聖陽が主役なんだと判明する。

「なるほど。こういう背景があったのね」と、わかる。


 だが、実際に面白いのは、真相が全て語られた後なのだ。


「どうしてこうなった⁉」という事態が発生し、主人公たちは窮地に立たされる。


 何もかも予想がつかない。

 視聴者は、ひたすらシナリオに翻弄される。

 ミスディレクションの嵐に、ぜひ巻き込まれていただきたい。


 このシナリオすべて真相が先読みできた人は、相当にカンがいいかも。

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