『湯を沸かすほどの熱い愛』 シンケンレッドはやはり赤が好き
末期がんを迎えた若き主婦の終活。
蒸発した夫を連れ戻し、娘のいじめを解決へと導き、夫の連れ子を保護した。
主演は宮沢りえ、監督は『浅田家!』の中野量太。
監督は、本作が商業デビュー作らしい。
いわゆる「難病もの」という重い題材なのだが、テーマは辛いと言うより「深い」印象を受けた。
主人公は娘に対して、無理やりいじめに立ち向かわせる。
布団から出てこない娘を叩き起こし、立ち向かわなければ逃げ続ける日々になると諭す。
主人公の事情を知らない娘は抵抗する。
今の時代なら「逃げてもいいじゃん」とも思えてしまうシーンだ。
が、ストーリー全体を見ると、この解決法がベストだったのかなと思えた。
なぜなら、主人公は「もう娘を守ってあげられない」から。
死にゆく母親なりの、勇気の付け方だったのかなと。
信頼関係を勝ち得た主人公一家は、旅行へ向かう。
そこでバックパッカーのシンケンレッドが。
「赤い車だけに乗って旅をする」というルールで北海道を目指すという。
しかし、その言葉はウソだった。
なんの目的もなかった。
そんな彼に、主人公は目的を作ってあげる。
だが、主人公たちの旅こそ、明確な目的があったのだ。
けっして、カニを食べに来ただけではない。
「自分だけが死ぬ」という枷を背負わされ、なおも残された家族のためになにかできないか、と行動する主人公の姿。
真相を知ると、この映画が実に深いと思えた。
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