『羅生門』 NTRならぬTGM(手篭め)

 一つの殺人事件に関わった証言が、二転三転する話。


 羅生門で雨宿りをする三人の男たち。


 主人公の百姓は、目撃したサムライ殺人事件の不可解さを説く。 


 あるとき、百姓はサムライの死体を発見する。


 下手人の野武士は、検非違使によってすぐに捕まる。


 野武士はサムライを襲撃し、彼の妻をTGM(手篭め)にする。

「サムライに勝てば自分の妻にしていい」と女性に請われ、サムライと真っ当に決闘した。

 サムライを殺害し、女を手に入れようとしたが、逃げられてしまう。

 金目のものは売ったと言い張った。


 だが、その後サムライの妻が検非違使に現れたのだ。


 サムライの妻は、「夫を殺したのは自分だ」という。

 蔑んだ眼差しで夫が自分を見たのに腹を立て、短刀で刺したと証言する。


 その話をしていた百姓は「ウソだ!」と叫ぶ。

 なぜなら、そのサムライは太刀で死んでいたからだ。


 さらに話は続き、今度は「イタコに降りてきた夫」の証言が始まる!

 ここまでくると、もはやファンタジーである。



 芥川龍之介作「藪の中」という小説が元となった映画。 

 人間の業を描いた本作は、「着物強盗」の話として申し訳程度の「羅生門」成分が。


 煮え切らない真相とやりきれないラストだが、エンディングは雨上がりと共に清々しく描かれ、見た後には晴れ渡る気持ちに。

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