『映画 聲の形』 間違った選択をした結果、泥沼に

 金ローで上映したらしいが、オレはNetflixで視聴済み。



 石田将也(入野自由)は、高校生になっても、小学校時代に起こしたいじめ問題に捕らわれていた。


 西宮硝子(早見沙織)という耳の聞こえない少女が転校してきてから、彼らの日常は変わっていった。

 硝子は自分なりにクラスと打ち解けようとするが、クラスから距離を置かれていく。


 将也は最初から率先して、硝子をからかっていた。

 硝子の補聴器を、クラス一丸となって捨てていった。


 だが、硝子の補聴器が高額だと分かると、今度は将也がいじめられる側になる。


 全員が「主犯は将也」と決めつけ、つるし上げる。

 

 母親は黙って補聴器の修理代を払った。


 冒頭で、将也が母親の枕元に置いた金は、その費用を返金していたのだ。


 自分は生きていてはいけない。

 将也は死ぬことまで考えていた。


 それを母親に悟られてしまい、せっかくの金を燃やされてしまう。

 



 いじめから数年、将也は自分を閉ざして生きるように決めた。

 耳を閉ざし、クラスの声を聴かないように。

 彼の目には、人々の視線にバツ印が付いて映っているのが印象的だ。


 そこに、救いの神が現れる。

 自転車と取られそうになってるところを助けた、永束くんだ。


 正直、彼の存在がなければ、この話は最後まで見られなかったかも知れない。



 将也は過去を清算するため、手話を学ぶことにした。

 だが、同じように硝子も手話教室に通っていた。

 しかも、硝子のカレシを名乗る少女に交流を阻まれる。



 後に彼女は妹だと分かる。

 登校拒否児なのに、自分のことよりも姉のことを優先してしまう。


 将也は少しずつ、友達が増えていくが。


 



 将也は自己肯定力が低く、他人と向き合えなかった。

「自分は生きていてはいけない人間」

 と、自分を責め続けている。

 

 硝子は弱いというより「不器用」。

 コミュ障で、自分でもどうしていいのか分からないのだ。


 植野は、クラスとバランスを取りたがって結局泥沼化してしまう。

 けれども、彼女がいなければ問題は表面化しなかった。


 人間関係のウミを取り除くには、ズバズバ言う人間が必要だったのである。


 

 川井みたいな「誰とでも手を取り合おう」と考える一面は、誰にでもあるだろう。


 ネットでの評判は最悪だそうだ。

 しかし実質、彼女を誰にも責められないはず。


 しかし、全員が間違っていた。

 

「悪い」とか「犯人」を探し当てるのではない。

「誰が間違っているのか」

 ではなく、


「何を間違っていたのか」


 を考える必要があったのだ。


 全員が「誰の声も聞こうとしなかった」ことが原因で、先入観のみで相手を決めつけてしまっていた。


 これが間違いだったのである。

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