『孤狼の血』 多目的取調室

 ヤクザ同士の抗争の火種となった金融会社社員失踪事件を、ヤサグレ警察とともに追う若き刑事。

 だが彼は、ヤサグレ刑事が殺人を犯しているのではないかと、内偵調査をしていた……。


 テレビドラマ化もされた将棋ミステリ『盤上の向日葵』などを手掛ける柚月裕子氏の原作映画。


 主演の若刑事は、松坂桃李さんが担当する。

 空手の達人だが、正義感が強すぎて融通がきかない。


 役所広司さんがベテランやさぐれ刑事を演じる。

 取調室で女性の参考人を抱くなど、破天荒な一面がある。

 しかし、彼の悪行はそんなものでは済まされない。


 重要な証拠である「連れ込み宿の監視カメラ映像」を手に入れるため、ボヤ騒ぎまで起こす。

 殺害現場に居たらしい相手に、「アソコの真珠を取り出す」拷問をする。


 ヤクザ以上に恐ろしい存在として、やさぐれ刑事は描かれている。


「バディもの」のように、友情が生まれてどうのこうのなんて描写を求めてはいけない。

 ひたすら衝突し、正義感故に拒絶する。


 非常に生臭い映画だ。



 やり方がメチャクチャながら、実績があるため、警察も辞職に追い込めない模様。


 なぜ彼が、警察としてやっていけるのか。

 それは後に判明し、主人公の正義感は揺らぐ。

 ヤサグレ刑事のめちゃくちゃぶりには、意味があったのだ。

 

 血で血を洗うようなノワール映画ながら、見た後の爽快感は見事である。

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