創作に役立たない、「映画の感想」

『ゴーン・ガール』 複数の仮面を持つ夫婦の、胸糞な末路

　すべてが完璧だった妻が、失踪した。

　二人はそれまで、理想的成功者として注目されていた。

　影では嫌われていたが。

　ヒントを頼りに彼女の手がかりを追うが、どれも、主人公を追い詰める。

　女物の下着、大量の衝動買い、挙げ句は燃え残った妻の日記。

　家宅捜査の後、大量の血痕が発見され、主人公に殺人容疑がかかる。

　後に、主人公が妻に保険金をかけていたことも露見する。

　主人公は「無理やり書かされた」と反論するが、信じてもらえない。

　実は、第一現場で発見された下着は浮気相手のものだった。

　主人公は不貞を働いていたのだ。

　二人は仮面夫婦であり、お互いの本性がわかった瞬間に愛情のない生活が始まっていたのである。

　誰もが羨む二人が、実は演じていただけという悲しい話だ。

　だが妻も妻で、実は夫に社会的制裁を与えるため、逃げていた。

　主人公が自分を裏切っていると知った妻は、日記に「ニセの記録」をでっち上げて失踪している。

　マスコミが彼の言葉を信じないのをいいことに、有る事無い事を書き綴って、わざと少し燃やして残しておいたのだ。

　後に主人公が雇った弁護士ですら舌を巻くほど、周到な計画である。

　二人の戦いも、ズレた行動であり、

「それぞれが、自身の印象を良くしようと」

　動いているさまが、実に滑稽だ。

　どっちも嘘をついているふうにしか映らない。

　仮面夫婦ながら、「愛しているのは、仮面の方だった」ということに気付かされる、胸糞な映画である。

　いい映画だが、結構ストレスのかかる映画なので、見る際は精神が良好な状態での視聴をオススメする。