『青天の霹靂』 親の顔より見たナポレオンズ
劇団ひとり原作・監督作品。
売れないマジシャン、轟 晴夫(大泉洋)の携帯に、「父親が遺体で発見された」と連絡が。
父 正太郎(劇団ひとり)は、蒸発した母親の代わりに、晴夫を育てていた。
18になってマジックバーで以来、晴夫は父と会っていなかった。
父の遺灰を手に、亡父が過ごしたホームレス小屋を訪ねる。
そこには、赤ん坊の晴夫を抱く父の写真が。
地の底まで落ちて野垂れ死んだ父を思い、自分の惨めさと重ね合わせ、晴夫は涙する。 青空の下で、晴夫は落雷に遭う。
どういうわけか、晴夫は昭和48年にタイムスリップしていた。
平成時代の500円では、牛乳すら買えない。というか当時は500円玉自体がない。昭和57年製造だから。
このままでは無一文だ。
道ばたで軽く手品をしていたら、子どもから「手品で金を稼げるところ」を案内してもらった。
着いた先は、浅草雷門ホール。
支配人に「スプーン曲げ」を披露すると、採用してもらった。
当時はまだ、ユリ・ゲラーの存在が知られていなかったからだ。
ただ、晴夫はしゃべりが不得意。そこで、ホールで働く花村悦子(柴咲コウ)に助手をしてもらうことになった。
ガラガラの客席に向けて、スプーン曲げを披露。
そしたら客から大受け!
どうにか悦子と親しくなろうとするが、空振りに終わる。
翌日、悦子が体調を崩したと連絡が入った。
晴夫が見舞いに行くと、確かに悦子は具合が悪そう。
事情を聞くと、「しょうちゃんが逮捕された」という。
2週間前に出て行ったきりで、急に帰ってきたらしい。
確かに、悦子の部屋には異性と同居している痕跡が。
「自分が代わりにその男性と会ってくる」と晴夫は代理で警察へ。
そこにいたのは轟正太郎。若かりし頃の父だった。
悦子は、正太郎の子を身ごもっていた。
今は10月5日。
あと半年後に、自分が悦子から生まれてくる。
病欠した悦子の代わりに、正太郎が晴夫と組むこととなった。
ケンカばかりだったが、「むしろドツキ手品で売っていこう」という戦略が大ウケする。
子どもができた正太郎に、晴夫はテレビに出ようとオーディションへと誘う。
ところが、晴夫は母親に起きた真相を知ってしまう。
「自分なんて生まれてこなければよかった」と、晴夫は絶望する。
正太郎は自棄を起こし、手品もやめてしまう。
一人残った晴夫は、いかに自分が母親から愛されていたかを知り、ステージに立つ。
シナリオはシンプルなタイムスリップモノだ。
なのに、ここまで感動できるのは、やはりシナリオのうまさである。
いやー、劇団ひとりさん、うまいわー。
ベタだからこそ、シナリオに集中して泣ける
余談だが、バーのマスターの「のぶちき」を、「ナポレオンズ」の小石至誠さんが演じている。
もちろん「頭グルグル」を披露してくれる。
昭和世代と言えば、マジックと言えば、やっぱりナポレオンズでしょ。
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