『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』 前向きに生きる内向的思考たち

 すみっコたちが飛び出す絵本吸い込まれ、児童文学の登場人物に仮装する話。


 道中、彼らは一匹の灰色のヒヨコと出会う。


 ひとりぼっちなヒヨコのために、すみっこたちは「ひよこがどこの登場人物か」探しに行く。


 だが、どこへ行っても噛み合わない。


 はたして、ひよこはどの物語の人物なのだろう。


 子どもでも分かり、オトナでも楽しめる。


 上映時間も一時間と、ほどよいボリューム。


 大スペクタクルもなく、スケールも小さい。

 終始、すみっこたちがコロコロと丸まっている。


 ただ考えさせられる。


 癒やしもありつつ、切ない。


 カワイイだけでは終わらない世界がある。


 恐竜とバレてはいけないため身を潜めている、自称トカゲ。

 いつも残される、とんかつとタピオカ。

 カラを背負ってかたつむりに擬態している、ナメクジ。


 事情があって隠れているモノや、性格的にネガティブな連中ばかりが集まっている。


 ひよこにも、重大な事情があった。


 後ろ向きなキャラが、さらに後ろ向きなキャラと出会い、なんとかしようと奮闘する。


 ネガティブだからこそ、相手の気持ちが分かり、ネガティブ故の解決策へと至る。


 こういう、「背伸びはしないけど前向きな話」というバランス感覚は、非常に勉強になる。

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