『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています』 察しないダンナと空気を読まないヨメ

 玄関のドアを開けると、妻が死んでいた。

 ケチャップで口の周りを塗りたくり、仰向けに倒れている。


 次の日、帰宅すると、妻は頭からワニに食われている。

 ワニの等身大フェギュアを、わざわざ取り寄せたのだ。

 

 その後も、ジュリエットになっていたり、捕虜となって処刑されていたり。

 頭に矢が刺さったまま、料理をはじめることも。

 随分とお茶目な嫁さんである。


 主人公であるダンナの方も、妻のノリについていこうとする。

 夫役が安田顕なので、芝居も本格的なのが笑える。

 が、仕事で疲れている状態なのでくたびれはじめた。


 妻はダンナに寄り添っているのに、ダンナの方が妻に背を向けて眠る。

 この状態が、夫婦の関係を象徴している。


 ダンナはバツイチ。

 元妻は、失踪一週間後に帰ってきて、いきなり離婚を迫ってきた。

 そのため、「今の妻は、自分に何か不満があるのでは」と、妙に勘ぐってしまう。


 一見幸せそうだが、内心お互いの気持ちが分からない部下夫婦をみて、一層、不安を募らせていく。


 全体的に、コメディタッチで進む。

 後半は両者の体験からくるエピソードで織りなされ、互いにどう思っているのかが分かってくるようになっていく作りだ。

 

 こういう夫婦生活に憧れるかと言えばシンドそうだが、信頼関係を築くことがいかに大切で、いかに楽しいか、それを教えてくれる映画である。

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