『クレイマー、クレイマー』 アドリブ満載
離婚を通じて、父と息子がお互いを見つめ合う話。
脚本家ブレイク・スナイダーは、この話を『10のストーリーパターン』の一つ、「人生の岐路」と称している。
とくに「朝食のシーン」が見事だという。
冒頭で、ダスティン・ホフマンが朝食を作ってやる。
フレンチトーストだというのに、マグカップで玉子を割ってしまい、食パンが入らない事態に。
息子の指摘も聞かず、独自でフレンチトーストを作り、コーヒーを沸かしている間に焦がしてしまう。
中盤、ドーナツを食べるのだが、両者とも口を利かず、互いの顔も見もしないで、新聞を読みふけっている。
話が進んでいくウチに、終盤、とうとうフレンチトーストを見事に完成させる。しかし、その日は父と子が離れるときという切なさ。
このように、ドラマ一つとっても、料理シーンで描写できるという傑作だ。
また、ダスティン・ホフマンの考えたアドリブが満載である。
終盤の法廷シーンで、主人公が妻に語りかける場面や、ワイングラスを壁に叩き付けるシーンも、アドリブである。
極めつけは、息子が夕飯を食べずにアイスを口にしようとするシーンだ。
主人公は警告をするが、息子は言うことを聞かずにアイスを食べ、お互いの不満を爆発させる重要な場面である。
これは、実際に子役が「親に叱られて一番怖かった場面」を話聞き、再現したという。結果、マジであんな緊迫したシーンになったらしい。
だからこそ主人公も本気で怒る演技をし、息子は怯えた演技ができたのだ。
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