『かもめ食堂』 おせちに飽きたら「おいしそうな映画の料理」の常連で 

 フィンランドで和風食堂を経営する女性が、現地を訪れた日本人と交流する日常もの。


 コピ・ルアクというコーヒーが見たくて視聴した。ハクビシンのフンから取れるコーヒーである。


 また、本作のシナモンロールは、「おいしそうな映画の料理」として必ず名前が挙がるほど有名。

 実際、シナモンロールの香りに釣られて、それまで空席の目立った食堂に客が入り出す。


 この映画の特徴として、

「あまり登場人物の背景に深入りしない」

 点がある。


 片桐はいりが小林聡美にフィンランドに来た経緯を尋ねられて、涙ぐむシーンがある。


 小林は特に詳しい事情を聞かず、単にティッシュ箱を差し出すだけに留める。

 この演出がうまいと思った。

 変に勘ぐらず、話を食堂へと持っていく。


 もたいまさこの紛失した荷物ついても特に語られない。

 空港で流れていく荷物をボーッとながめる彼女の姿は、哀愁が漂う。

 いくらでも仮説を立てられる。


 こういう話の中に出てくる隙が、日常系に深みを増しているように思う。


 この映画は、いわゆる「日常系」で、この点は二次元アニメとまるで変わらない。

 登場人物たちの背負っているドラマが、大人向けか若者向けか程度の違いである。

 流れる空気や、浮き沈みのないドラマ展開など、日常系アニメとまるで遜色がない。

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