新年、一発目はこれ!

『カメラを止めるな!』 振り回されるは、ゾンビか監督か

 これ、映画館で見ようと思って、

「この時間やったら、ええ席で視聴いけるやろ?」

 と高をくくっていた。


 いざ予約の段階になると、ほぼ前の席しかなかった。「マジかよ」と。それだけ人気作だったのである。


 ちょっと、この映画舐めてた。


 内容は、ごく普通のB級ゾンビ映画である。


 ゾンビ映画のラストシーンは、もうかれこれ40テイクを迎えていた。

 監督は激怒し、ヒロインやゾンビ役に当たり散らす。

 休みを挟み、軽い談笑が始まる。


 この撮影現場は人体実験があった施設跡地で、ゾンビが出ると、ベテランスタッフは語る。


 そこへ、本物のゾンビが現れた。


 監督が、儀式を行ってゾンビを蘇らせたのだ。

 臨場感ほしさに。全ては映画の完成度を高めるため。

 

 だが、その様子はどこか妙である。


 なぜ、やたら護身術で繋いでいるのか。

 外はゾンビだらけだと説明したばかりなのに、なぜ、無言で立ち去ろうとするスタッフがいるのか。

 都合よく、ヒロインが武器を見つけた理由は?


 ゾンビに襲われ、カメラが倒れたまま撮影が続行されるシーンも。

 

 そんな不自然な場面が続くなーと見ていたら、なんと映画が終わってしまう。


 あれ、ポップコーンめちゃ残ってる。

 ジンジャーエールも大量にある。

 オレは時計を持っていない。スマホの電源も切っている。時間確認ができん。

 スタッフロールが終わり……。


 その後の展開を見て、オレは思った。

「ああ、タイトルってそういう意味だったのか」

 と。

 

是非、ゾンビ映画だと思って騙されて欲しい。

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