『日本で一番悪い奴ら』 ヤクザ「はいこんにちはー」

 実際に起きた北海道警察の不祥事「稲葉事件」の映画化。


 ヤクザと手を組んでいた先輩刑事にそそのかされ、理想に燃える若い刑事が悪に染まる。

 ノルマを稼ぐため『だけ』に、礼状もなくヤクザの家に上がり込んでヤクを押収する。


 名刺を配りまくるシーンは、実際にやっていたらしい。


 中村獅童が実にユニークだ。

 登場して早々のセリフが「はいこんにちはー」だもんなぁ。

 これだけで全てを持っていく。

 仕事もこなせて、「もう全部任せていいのでは」というくらいに働く。


 その後、北海道警を巻き込んで拳銃押収の自演や麻薬密輸見逃しを行った。

 結果、拳銃をやくざから買って、「押収した」扱いにするというマッチポンプがまかり通ることに。

 すべてはノルマのために。


 家族を養えるようになったと、手下も満足げだ。


 ところが、中村獅童がしくじって、作戦は無謀な方向へ傾き始める。

 信じていた仲間も散り散りに。


「ムービーウォッチメン」のいう、『ヤングファミリー興亡史もの』という表現が見事にマッチする。


『凶悪』の監督なんだが、内容は割とコミカルタッチ。

 生々しいベッドシーンがあったりと、攻めっ気もある。


「主人公は凶人ではない。素直で周囲の期待に応えようとしすぎて転落した人」

という評価は納得。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る