『ドッグヴィル』 舞台装置は白線のみ

 犬の町と呼ばれる街に、ギャングに追われて逃げてきた女が。

 村は、二週間以内に村人に好かれることを条件に、彼女を匿うことにした。

 だが、次第に村人たちの態度が、悪い方向へ変化していく。


 胸くそ系サスペンスの傑作。

 人によっては受け付けないかも。

 

 この映画の特徴は、殆どセットがないことだ。

 白線が地面に引かれ、簡単な説明書きがあるだけ。

 役者たちはそこで演技をする。

 

 セットがない分、必然的に人物へと視点が集中するので、ごまかしようがない。


「ニコール・キッドマンが街に入ったら、そりゃあ、村中の食い物にされるやろー」

 といった、妙な納得感を見せつけてくる。


 やがて、彼女の驚くべき正体が発覚し、意外なラストを迎える。

 陰鬱な展開になるのに、妙に清々しい気分にさせられる。


 あまり語ると面白みがなくなるので、詳細は語れないが、人間の醜い部分が浮き彫りになって、すごいイヤーな気分にさせられる。


 本作のようなケースは、誰でも起こりうる。

 この映画みたいな状況下に置かれれば、子どもですら残酷になれるのだ。

 結末は、是非自身の目で確かめていただきたい。



 デンマークのラース・フォン・トリアー監督の作品。

 代表作と言えば、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』かと。

 彼の映画は、ぶっちゃけ精神的に余裕がないと、うつになりそうになる。

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