『ゴールデン・ボーイ』 ナチスドイツのこころ
近所に住んでいる老人が元ナチであると知った少年は、見逃す代わりに当時の出来事を聞かせてもらう。
ガス室のホースに穴が空いていていることに気づかず、ユダヤ人が二時間もの間、部屋中をのたうち回っていた話など、残虐性極まりない。
生々しいエピソードは、あまりにもショッキングで、幻覚に悩まされる。
本人が聞きたがっていたのに、少年は
「お前の話のせいで成績落ちたやんけ」
と、言い訳を始める。
逆恨みもいいところだ。
クリスマスの日など、面白半分で、少年は老人に軍服を着せ、行進させる。
悪ふざけにムキになった老人は、少年がやめろと言っても行進を続けた。
庭でくつろいでいた老人は、家に紛れ込んだ猫をオーブンで焼き殺そうとする。
猫は逃げていったが、オーブンの残り火で煙草を吸う時の狂気じみた顔が狂気に満ちている。どこまで正気なのか分からない。
学校の成績を盾に、老人はもう少年を自分と関わらせないようにするが。
老人と少年のふれあいといった、『アトランティスのこころ』みたいな話を想像してはならない。
少年はプライドが高く、身勝手で狡猾であり、人を支配することにためらいがない。
元ナチ高官は老獪さで、老人を操っていると思い込んでいる少年を、自分のペースに巻き込んでいく。
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